ハマス、ガザ停戦めぐり「対案」 米特使は「受け入れがたい」

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イスラエル軍の攻撃の後、上空に立ち上る煙=5月31日、パレスチナ自治区ガザ地区ガザ市/Omar Al/Qattaa/AFP via Getty Images

イスラエル軍の攻撃の後、上空に立ち上る煙=5月31日、パレスチナ自治区ガザ地区ガザ市/Omar Al/Qattaa/AFP via Getty Images

(CNN) イスラム組織ハマスは5月31日、米国が示したパレスチナ自治区ガザ地区の停戦案をめぐり、ガザでの戦闘終結を改めて求めた。一方、米国のウィトコフ中東担当特使は、ハマスの停戦案についてX(旧ツイッター)で「全く受け入れがたい」と批判した。

ハマスは声明で、仲介国のカタールとエジプトに対して「対案」を提示したと明らかにした。今回の対案を通じて、恒久的な停戦と、ガザ地区からのイスラエル軍の全面撤退、住民への人道支援の確保を図ると説明した。

声明によれば、合意の一環として、ハマスが拘束するイスラエル人10人の解放と18人の遺体の返還と引き換えに、合意された人数のパレスチナ人受刑者が釈放されるという。

交渉に詳しい情報筋がCNNに語ったところによると、ハマスの回答は「前向き」だが、さらなる交渉と調整が必要だという。

情報筋によれば、ハマスは停戦期間の60日を超える延長と、人道支援の在り方、イスラエル軍の撤収地点という3点で修正を求めている。

ハマスの高官は先に、CNNの取材に対し、▽恒久的な停戦に向けた交渉の継続と戦闘再開の停止を米国が保証すること▽人道支援を国連経由で行うこと▽イスラエル軍が3月2日時点の位置まで後退すること――の3点を米国側に提示したと明らかにしていた。

ウィトコフ特使は、ハマスの回答を受け取ったとしたうえで、「われわれを後退させるだけで全く受け入れられない」と指摘。米国が提示した枠組みを停戦交渉の基礎として受け入れるべきだと求めた。

ハマス政治局のバセム・ナイム氏はCNNに、米国は以前ハマスとの停戦案に合意していたが提案をイスラエルが修正したとし、ウィトコフ氏の発言を「完全な偏向だ」と非難した。

ナイム氏は「われわれはウィトコフ氏の提案を拒否していない」と強調。先に、ウィトコフ氏と停戦案で合意に達したが、その後に示されたイスラエル側の回答は合意内容すべてと相反していたと主張した。

イスラエル当局者は、ハマスがウィトコフ氏の最新の提案を事実上拒絶して、自らの条件を盛り込んだ新たな提案を出してきたとの見方を示した。

イスラエル首相府も声明で、イスラエルは更新されたウィトコフ氏の提案を受け入れたが、ハマスは依然拒否しているとし、「人質奪還とハマス打倒のための行動を続ける」と表明した。

米国が主導し、イスラエルが承認した停戦案によると、ハマスはイスラエル人人質10人と死亡した人質18人の遺体を解放・返還するのと引き換えに、終身刑を科されているパレスチナ人受刑者125人と、開戦後に拘束されたガザ住民1111人の釈放を求めている。

提案によれば、停戦期間60日間の初日に恒久停戦に向けた協議を即時開始するほか、人道支援物資は国連や赤新月社など「合意済みの経路」を通じてただちに搬入して配分する。

ただし提案には、ハマスが求める戦闘の恒久停止や、交渉が継続する限り停戦が延長されるという保証は盛り込まれておらず、米国のトランプ大統領が「最終合意に至るまで誠実な交渉が継続されるよう取り組む」と記されているだけだ。

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