ウクライナ、ロシアの空軍基地を大規模ドローン攻撃 「1兆円の損害」と主張
ロシアの爆撃機、滑走路で炎上
(CNN) ウクライナは1日、ロシア国内にある複数の空軍基地に対して大規模なドローン(無人機)攻撃を実施し、複数の戦闘機を破壊した。ウクライナ保安局(SBU)が明らかにした。SBUは、ロシア軍に対して推定70億ドル(約1兆円)の損害を与えたと主張している。
「クモの巣」と名付けられた今回の作戦は、戦争が始まって以降で、ウクライナがロシアの空軍基地に対して実施した最も野心的な同時攻撃となった。ウクライナとロシアは2日にトルコ・イスタンブールで和平協議を予定している。
SBUの情報筋によれば、ロシアの爆撃機が数百キロ離れた四つの空軍基地で「一斉に炎上」した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は1日夜の演説で、ウクライナが1年半以上前から今回の作戦を計画し、117機のドローンを使用したと述べた。「計画、組織、あらゆる細部にいたるまで完璧に準備されていた。まったく前例のない作戦だったと自信を持って言える」
トランプ米政権の当局者によれば、米国は今回の作戦について事前に知らされていなかった。
SBUの情報筋は、ロシアの40機以上の航空機を攻撃したと述べた。攻撃を受けた航空機には、戦略爆撃機の「TU95」や「Tu22M3」、早期警戒管制機「A50」が含まれるという。SBUによれば、今回の作戦による損害は推定70億ドルで、主要な空軍基地に配備されているロシアの戦略爆撃機の34%が攻撃を受けた。
今回の作戦の標的となった飛行場には、ウクライナ国境から約4500キロ離れたイルクーツク州のベラヤ空軍基地や、約520キロ離れたリャザン州のジャギレボ空軍基地が含まれる。
ロシア国防省は、ウクライナが1日に5州にある飛行場を標的とした攻撃を行ったことを確認し、「テロ攻撃」と指摘した。
国防省は、イワノボ州、リャザン州、アムール州で攻撃を撃退したと明らかにした。ムルマンスク州とイルクーツク州では、攻撃後に「複数の航空機」が火災を起こしたが、その後、鎮火したという。
国防省によれば、攻撃による死傷者は出ていない。テロ攻撃に参加した複数人が拘束されているという。
SBUの情報筋によれば、今回のドローン攻撃ではウクライナの都市部を毎晩爆撃する航空機を標的とした。
情報筋が提供した動画には、ベラヤ基地が炎に包まれる様子と、SBUのマリュク長官が状況についてコメントする声が収められていた。マリュク氏は「ベラヤ飛行場は今、なんと美しいことか。敵の戦略航空機だ」と述べていた。
CNNはこの動画と、SNSに投稿された、ベラヤ基地から煙が上がる様子を捉えた他の二つの動画の位置を確認した。SBUが提供した他の動画については、独自に確認することができなかった。
SBUの情報筋は、今回の作戦について、「物流の観点から非常に複雑」だったと振り返った。ドローンは、トラックでロシアに運ばれた木造の移動式の小屋の中に隠されていた。小屋の屋根の下に隠されていて、ちょうどよいタイミングで屋根が遠隔操作で開けられ、ドローンが発射されたという。
情報筋によれば、作戦に関与した人々はすでにウクライナに戻ったという。