ポーランド大統領選、保守派の野党候補カロル・ナブロツキ氏が勝利
(CNN) ポーランド大統領選の決選投票が行われ、歴史家でポピュリストのカロル・ナブロツキ氏(42)が僅差(きんさ)で勝利し、同国で進む権威主義の遺産清算を目指す中道政権に打撃を与えた。
野党の保守政党「法と正義(PiS)」が推すナブロツキ氏は、決選投票で、ワルシャワ市長のラファウ・チャスコフスキ氏を破った。得票率は50.89%だったと選挙管理委員会の数字を引用してロイター通信が報じた。チャスコフスキ氏は当初有力視されていたリベラル候補だった。
この結果により、PiSは大統領府を10年間掌握し続けることになり、トゥスク首相が掲げる「PiS色」を一掃する計画は暗礁に乗り上げる恐れがある。トゥスク氏はこれまでドゥダ大統領と何度も衝突してきた。
ナブロツキ氏は米国のトランプ大統領の熱烈な支持者で、選挙前の数週間にホワイトハウスを訪問した。選挙戦では常に劣勢だったが、2週間前の第1回投票でチャスコフスキ氏に僅差まで迫り、過去に関する一連の報道を乗り切った。極右で3位だった候補からの支持表明も取り付けた。

ワルシャワ市長のラファウ・チャスコフスキ氏/Aleksander Kalka/AP
ポーランドでは大統領は強大な拒否権を持つ。ナブロツキ氏は、ドゥダ氏が行使してきたその権限を引き継ぎ、トゥスク政権の政策を阻むことが予想される。欧州連合(EU)はポピュリズムの影響を打ち消すモデルとしてトゥスク氏に期待していたが、ナブロツキ氏の勝利は想定外だった。
ポーランドの大統領候補は形式上、無所属で立つことが多いが、政党との関係は隠しようがなく、主要政党はいずれも候補を公然と支援してきた。
トゥスク氏は2023年の総選挙でPiSを下し政権に返り咲いたが、ナブロツキ氏の勝利により、PiSが8年間の政権で進めた国の変革を完全に巻き戻す道は閉ざされた。