米MIT卒業生代表、パレスチナ支持のスピーチで卒業式の出席禁止
MITの卒業生代表、スピーチでガザ戦闘を非難
(CNN) 米マサチューセッツ工科大学(MIT)2025年卒業生の学生代表が、パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘を非難するスピーチを行ったことを受け、同大への卒業式への出席を禁じられた。
出席を禁じられたのはメーガ・ベムリさん。卒業式前日の5月29日に行ったスピーチの後、大学の上層部から、30日の卒業式に出席することは認めないと通告され、卒業式が終わるまでキャンパスへの立ち入りを禁じられたとCNNに話している。
MIT広報は、ベムリさんへの学位は授与すると説明した。
ベムリさんは1日、「私が今置かれている状況は、パレスチナの人たちに比べれば全然大したことではない。彼らの助けになるのであれば、もっと多くを引き受ける」とCNNに語った。
学生代表のベムリさんは、29日にマサチューセッツ州ケンブリッジで開かれた合同卒業式のスピーチで、パレスチナ連帯のシンボル「ケフィエ」をまとって登壇。ガザの戦闘に抗議している学生らをたたえ、大学とイスラエルとの関係を批判した。
今年の卒業式では米各地でガザの戦闘に対して抗議の声を上げた学生と大学との対立が鮮明になっている。ニューヨーク大学は、卒業式のスピーチでガザの「ジェノサイド(集団殺害)」を批判した学生の卒業証書を留保すると表明した。
昨年春にはニューヨーク大やハーバード大、コロンビア大、MITなど全米の大学に野営してガザの戦闘に抗議した学生が、大学から処分の脅しに遭っていた。
ベムリさんは29日のスピーチで「皆さんは以前も目の前に立ちはだかった恐怖という障害を糧に変えて、正しいことのために立ち上がった。自由なパレスチナを求めるMITの姿を世界に見せつけた」と語りかけた。聴衆には学生や家族、MIT教職員、マサチューセッツ州のマウラ・ヒーリー知事もいた。
ベムリさんのスピーチの直後、MITのサリー・コーンブルース学長が壇上に上がり、聴衆を落ち着かせようと「皆さん、聞いてほしい。MITは表現の自由を尊重する。しかし本日は卒業式だ」と述べた。
MIT広報はベムリさんの29日のスピーチについて「事前に本人から提示されていたものではなかった」と説明。「MITは表現の自由を支持する。だが今回の決定は、この人物が卒業式の主催者を故意に何度も欺き、壇上から抗議を先導し、重要な式典を妨害したことに対する措置だった」と述べている。
MITのパレスチナ学生団体によると、MITのメリッサ・ノーブルズ総長からベムリさんに電子メールが届いて30日の卒業式出席は認めないと通告され、ベムリさんの入場券は無効になったと告げられたという。
ベムリさんは、会場にいて自分を支持してくれた家族に感謝していると話し、卒業式に出席できなかったことは後悔していないと断言。「ジェノサイドに加担している機関のステージを自分が歩く必要性は感じない」としながらも、「ただ、MITが具体的なポリシー違反の根拠を示さないまま、正当な理由も適正手続きもなく、自分たちの役割を大幅に踏み越えて私を処罰したことに失望している」と述べ、言論の自由を支持していると称するMITの立場は偽善だと指摘した。
ベムリさんのスピーチは全米のメディアに取り上げられ、ベムリさんは熱烈な支持と猛烈な批判の的になっている。
「肯定であれ否定であれ、これであのメッセージがもっと広く伝わるのなら、私はこの注目に対応できる」とベムリさんは話している。