独、長距離兵器巡るウクライナ支援を約束 ただし高性能ミサイル「タウルス」には言及せず

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ベルリンで共同記者会見を行うメルツ独首相(右)とウクライナのゼレンスキー大統領/Krisztian Bocsi/Bloomberg via Getty Images

ベルリンで共同記者会見を行うメルツ独首相(右)とウクライナのゼレンスキー大統領/Krisztian Bocsi/Bloomberg via Getty Images

ベルリン(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は、新たに50億ユーロ(約8200億円)規模の軍事支援を確保して独ベルリンを後にする見通しだ。同氏は自国内における武器の在庫と兵器生産能力の増強を図っている。

ベルリンで28日に結ばれた包括合意は、ドイツの財政支援の下、ウクライナ国内で長距離ミサイルを共同生産するとの際立った内容を盛り込む。実現すればウクライナは、ロシア領土の奥深くを狙った攻撃が可能になるとみられる。

この他にも発表では防空システム、兵器、弾薬を増強する方針が明らかにされた。また「指揮と運用」の能力、医療支援の強化も打ち出された。

その一方で、ある重大な側面は抜け落ちていた。今回の会見に先駆け、ドイツのメルツ首相に対しては、ウクライナに向けてドイツの高性能長距離ミサイル「タウルス」の供与もしくは使用許可を表明するとの期待が高まっていた。

メルツ氏はショルツ前首相に対抗した選挙戦でウクライナへのタウルス供与を非常に強く支持していたが、連立政権を組む社会民主党がこの件に反対の立場を取っていることが大きいとみられる。

タウルスを使用すればウクライナは、英国の長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」や米国製の戦術ミサイルシステム「ATACMS(アタクムス)」の性能を格段に上回る標的も攻撃できるようになる。

ゼレンスキー氏との共同記者会見に臨んだメルツ氏は、「ここから両国間の軍産協力の新たな段階が始まる。それは非常に多くの可能性を秘めている」と述べた。

メルツ氏が就任してからの3週間で両首脳は既に3度会談を重ねるなど、ドイツとウクライナの協力関係は深まりつつある。

ゼレンスキー氏はベルリンへ向かう前に行った27日夜の演説で、攻撃ドローン(無人機)や迎撃装置、巡航ミサイル、弾道ミサイルシステムを全て自国生産できるようにしなくてはならないと強調していた。

クレムリン(ドイツ大統領府)はこうした動きにいち早く反応。ペスコフ報道官は28日にCNNの取材に答え、「ドイツの立場は全くもって無責任。和平プロセスを支援しようとするどころか、火に油を注いでいる」と批判した。

「彼らは単にさらなる戦争を引き起こそうとしているだけであり、そのためにこの軍事問題への間接関与を拡大している」(ペスコフ氏)

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