ドイツなど支援国、ウクライナの長距離兵器発射制限を解除 ロシアの記録的空爆受け

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ドイツのメルツ首相が、ウクライナに対する長距離兵器発射制限の解除を発表した/Kay Nietfeld/dpa/AP

ドイツのメルツ首相が、ウクライナに対する長距離兵器発射制限の解除を発表した/Kay Nietfeld/dpa/AP

(CNN) ドイツをはじめとするウクライナの支援国は、ロシアに向けた長距離ミサイル発射に関するウクライナ政府への制限を初めて解除した。ドイツのメルツ首相が26日に発表した。ここ数日にわたり、ロシアはウクライナの首都や他地域に対して大規模な空爆を実施していた。

これは、主要な支援国が大きく方針を転換したことを意味する。従来これらの国々は西側から供給された兵器をロシア国内深くで使用するというウクライナの要請をほとんど拒んできた。

メルツ氏は「ウクライナに供給される兵器には、もはや射程制限はない」「英国、フランス、ドイツ、そして米国からのいずれの供給兵器にも制限はなくなる」と明言した。独ベルリンで開催された欧州フォーラムで述べた。

「言い換えれば、今やウクライナは、例えばロシア国内にある軍事拠点の攻撃によっても自国を防衛できるようになったということだ」(メルツ氏)

この発表は、週末にウクライナへの記録的なドローン(無人機)攻撃とミサイル攻撃が行われた後に行われた。ロシアのプーチン大統領は、停戦合意を受け入れるよう国際社会から圧力を受けている。圧力を加える側には、事態の進展の遅さにますますいら立ちを募らせているトランプ米大統領も含まれる。

ただメルツ氏は、ドイツが強力な長距離ミサイル「タウルス」をウクライナに供与するかどうかについては言及しなかった。ロイター通信によると、メルツ氏はショルツ前首相が政権を握っていた当時、この供与を支持していた。

米国は昨年11月、バイデン前大統領がウクライナに対し、米国供与の戦術ミサイルシステム「ATACMS(アタクムス)」のロシア国内への使用を承認したことで、この制限を解除している。

ロシアは、長距離兵器へのいかなる制限解除も北大西洋条約機構(NATO)との戦争を意味すると公然と警告している。プーチン氏は西側諸国に対し、核保有国が支援するいかなる攻撃も共同攻撃と見なすとし、そうした兵器が通常ミサイルによって撃ち込まれた場合には核兵器の使用も辞さない構えを見せていた。

ロシア国営タス通信によると、クレムリン(ロシア大統領府)のペスコフ報道官は26日、メルツ氏の発表を強く非難し、制限解除は「むしろ危険」であり、「政治的解決を目指す我々の意向に全く逆行するだろう」と主張した。

一方ロイター通信は、複数の情報筋の話として、ウクライナのゼレンスキー大統領が28日にベルリンを訪問する予定だと報じた。

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