新首相にメルツ氏、異例の2回目の投票で 独議会
(CNN) ドイツ連邦議会は6日、新たな首相を選出するための投票を行い、中道右派「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」を率いるフリードリヒ・メルツ氏を首相に選出した。ただ、1回目の投票では新首相が選ばれない異例の事態も起きた。
メルツ氏は2回目の投票では325票を獲得し、選出に必要な議会過半数の316票を上回った。
メルツ氏は2月の総選挙で勝利し、先月には連立政権を発表していた。ただ、1回目の投票では6票とどかなかった。
メルツ氏は首相選出後、連邦議会で宣誓を行った。だが、メルツ氏の任期は不安定な状況から始まることになる。この日の投票結果は、連立政権内にも後ろ向きの姿勢が残っていることを明らかにしたほか、台頭する極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に政界を揺さぶる新たな機会を与えることとなった。
メルツ氏は2月の総選挙で勝利したものの、政権を樹立するのに十分な議席を獲得できなかった。これは、ドイツの多様な政治状況ではよくある結果だ。
メルツ氏は先月、中道左派「社会民主党(SPD)」との連立を発表した。ドイツの2大政党による連立はまれだが、これにより、2月の総選挙で第2党となったAfDが政権に入ることがなくなる。こうした動きは、ドイツの政治家が第2次世界大戦後から維持してきた極右団体に対する封鎖、いわゆる「防火壁」を拡大したものだ。しかし、こうした「防火壁」も徐々に弱体化しつつある。
連立政権で計328議席を有しており、首相選出のための投票は通常は形式的なものとなっている。これまで1回目の投票で次期首相が選出されなかったことはなかった。だが、祝賀ムードに包まれるはずだった6日、メルツ氏の将来は一時先行きが見えなくなった。
今回の1回目の投票での敗北はCDUとSPDの政略結婚に早くからあった亀裂を露呈させた。
積極的な政策を追求すると約束したメルツ氏にとっては、厳しい出発となった。
メルツ氏は3月に議会で3分の2の多数を獲得して、政府の借金を制限する憲法上の「債務ブレーキ」の改正を可決した。メルツ氏は安全保障政策の見直しを進める意向。この改革は軍備の近代化を目指し、国防費を大幅に増やすものだ。
メルツ氏はまた、2月の選挙で第2党となり、一部の世論調査ではトップに立つAfDからの干渉にも対応する必要がありそうだ。