ヨルダン川西岸視察の欧州アラブ代表団にイスラエルが警告射撃、各国が非難
(CNN) イスラエル軍が21日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸を訪れた欧州とアラブ諸国の代表団に対してジェニン難民キャンプ付近で警告射撃を行った。国際社会からは即座に非難の声が噴出している。
パレスチナ自治政府外務省によると、英国、フランス、カナダなど20カ国あまりの代表団は、西岸を公式訪問してジェニン難民キャンプ周辺の人道状況を視察した。
この現場をとらえた映像には、イスラエル兵が代表団に向けて発砲し、代表団が後退する様子が映っている。銃声は少なくとも7回聞こえた。代表団の1人が「壁に寄れ」と声をかけ、一行は現場から立ち去った。
パレスチナ外務省はイスラエル兵の銃撃を「犯罪攻撃」として非難する声明を発表した。
ジェニン難民キャンプでは、イスラエル軍の大規模軍事作戦で100棟以上の建物が破壊され、数千世帯が被害に遭っている。イスラエル軍は今回の代表団訪問について、事前に調整が行われていたことを確認。一行が代表団だったことが明らかになり、調査を開始したと説明した。
21日の声明では「代表団が許可されたルートを外れ、立ち入り禁止区域に侵入した」と主張。「彼らを遠ざけるため、イスラエル軍兵士が警告射撃を行った」としている。
欧州連合(EU)の外相にあたるカヤ・カラス外交安全保障上級代表は21日の記者会見で、「外交官の生命が脅かされる事態は容認できない」と強調し、イスラエルに対し、関与した者の責任を問うよう強く求めた。
イタリア、フランス、カナダ、フィンランドなどの外務省や外相は事態を受け、それぞれイスラエル大使を召喚していることを明らかにした。
欧州各国に加えてヨルダン、エジプト、トルコ、カタールの外務省もイスラエルを強く非難している。