G20閉幕、温暖化の防止や石炭火力への援助停止で合意 確約に欠ける内容に

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バイデン米大統領など各国首脳がそろったG20サミット=30日/Brendan Smialowski/AFP via Getty Images

バイデン米大統領など各国首脳がそろったG20サミット=30日/Brendan Smialowski/AFP via Getty Images

(CNN) 主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は31日、首脳宣言を採択して閉幕した。石炭火力発電に対する資金援助の停止や、世界の平均気温を産業革命前から1.5度の上昇に抑える目標の確認が宣言に盛り込まれた一方で、石炭の使用停止の期限や、気候変動対策支援の資金拠出などを巡る問題点の改善は明記されなかった。

首脳宣言は、温室効果ガスの排出量を「今世紀半ばまで、あるいはそのころ」には実質ゼロにするため、各国が行動を加速させるとしている。2050年までの実質ゼロ達成に向け、「国が決定する貢献(NDC)」として知られる各国の削減計画を今後10年間強化する必要があるとも述べた。

専門家らによると、一部の国々は50年までに実質ゼロを達成可能な軌道に乗っていない。科学者からは50年までの実質ゼロや1.5度以内の気温上昇の目標達成には、この10年間で排出量を半減させる必要があるとの見解が示されている。

各国は二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電については、公的な資金援助を年内に停止することで合意した。ただし、脱石炭の期限は明記されなかった。

交渉の経緯に詳しい欧州議会のバス・アイクハウト議員がCNNに語ったところによると、宣言案の脱石炭をめぐる文言に複数の石炭生産国、消費国が抵抗を示した。

アイクハウト氏によると、日本は7月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に続いて、今回も電力システムの脱炭素化に向けた確約を避けるよう働きかけ、中国とインド、オーストラリア、ロシアがこれを支持した。日本は電力システムが30年代までに「圧倒的に」脱炭素化するべきだとの文言にするように主張したという。

宣言はまた、途上国の気候変動対策を支援するため、毎年1000億ドル(約11兆4000億円)を拠出するという合意を再確認した。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の議長国が出した最近の報告書によると、この目標額は23年まで達成されない見込みとなっている。

宣言ではさらに、化石燃料の採掘や畜産に由来するメタンガスが気候変動に大きく関与しているとして、削減が必要との認識が初めて示された。

メタン排出量については、米国と欧州連合(EU)が30年までに30%削減を目指す「グローバル・メタン・プレッジ(GMP)」の取り組みを主導してきたが、G20メンバーのオーストラリアは不参加を表明している。

首脳宣言は全体として、1日から英グラスゴーで本格的な協議が始まるCOP26での交渉が難航することを予想させる内容となった。

アフリカの視点から気候変動、エネルギー問題を扱うケニアのシンクタンク「パワー・シフト・アフリカ」のモハメド・アドウ所長は、今回の宣言を「軟弱」と呼び、「気候危機の影響をまともに浴びている途上国が話し合いから締め出されると、こういうことになる。COP26を前に、世界の経済大国は気候変動を最優先とすることに完全に失敗した」と断じた。

国際環境NGO「グリーンピース・インターナショナル」のジェニファー・モーガン事務局長は「G20がCOP26の舞台稽古だったとすれば、首脳の面々はせりふをとちった」「宣言は軟弱で野心もビジョンもなく、現状に全く対応できていなかった」と批判した。

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