ケネディ米保健福祉省長官、ワクチン諮問委員17人全員解任 「利益相反ある」
(CNN) 米保健福祉省のロバート・ケネディ・ジュニア長官は9日、疾病対策センター(CDC)の予防接種実施諮問委員会(ACIP)の全委員17人を解任し、新たなメンバーに交代させると発表した。ウォールストリート・ジャーナル紙への論説で明らかにした。同委員会が「利益相反を抱えている」ことを理由に挙げている。
ACIPはCDCに対しワクチン接種日程や予防接種の必要な対象範囲について助言する役割を担う。ケネディ氏はACIP委員の任命・解任権限を有しているが、全員の任期満了前の解任は前例がない。任期は通常4年。
ケネディ氏は、従来小児科医や疫学者などが務める委員の多くがバイデン前政権の「退任直前に任命された」としている。「今の委員を解任しなければ、現トランプ政権は2028年まで新メンバーの過半数を任命できなかっただろう」
ACIPの委員は政治任用ではない。しかし、連邦政府のワクチン政策とワクチンの安全性を長年批判してきたケネディ氏は、現委員会には利益相反がまん延し、ワクチンに関する推奨事項も透明性に欠けていると批判している。
解任されたACIP委員のひとりは、ケネディ氏の論説が掲載されて初めて解任通知を受け取ったとCNNに語った。
この人物は「公衆衛生にこれほど悪影響を与える出来事を、人生で一度も目にしたことがない」「衝撃を受けている。実に厚かましい。これは米国のワクチン接種を根本的に不安定にするだろう」と漏らした。また、ACIPは「私の知る限り、最も厳格な利益相反ポリシーを有する組織だ」と訴えた。
ケネディ氏は以前、上院保健教育労働年金委員会のビル・カシディー委員長に対し、ACIPの委員は変更せずに維持すると約束していた。
カシディー氏は9日、X(旧ツイッター)で「もちろん今懸念されているのは、ACIPがワクチンについて疑念以外何も知らない人々で占められるのではないかということだ」と述べた。