米政府、パレスチナ人権担当の国連高官に制裁 国際刑事裁判所通じた追求を「不当」と非難
(CNN) 米国務省のマルコ・ルビオ長官は9日、パレスチナ人の人権状況調査を担当している国連高官のフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者に対して制裁を科すと発表した。
ルビオ長官はX(旧ツイッター)への投稿で、アルバネーゼ氏が米国やイスラエルの同意を得ずに、国際刑事裁判所(ICC)と直接的にかかわって、両国の政府関係者や企業、幹部らを追及していると述べ、「不当かつ恥ずべき行為」と非難した。
パレスチナ自治区ガザで続く戦争をめぐり、イスラエルが犯したとされる犯罪を追及しようとする相手に対して米国は強硬措置に出ている。ドナルド・トランプ大統領は今年2月、ICCが米国とイスラエルを標的として「違法かつ根拠のない行動」を起こしたと主張して、ICCに対する懲罰措置を承認する大統領令を出していた。
国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は10日、米国に対し、アルバネーゼ氏に対する制裁を直ちに撤回するよう求めた。
トランプ政権はICCのカリム・カーン主任検察官と判事4人に対して制裁を科している。ルビオ長官は別の声明で、アルバネーゼ氏はこの大統領令に基づき制裁の対象としたと発表した。
ICCは2024年11月、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相(当時)に対し、戦争犯罪および人道に対する罪の容疑で逮捕状を出した。同時にガザのイスラム組織ハマスの幹部3人にも逮捕状を出している。
アルバネーゼ氏は先週発表した報告書の中で、米国の多数の企業が「不法占領、アパルトヘイト(人種隔離)、そして今やジェノサイド(集団殺害)のイスラエル経済」から利益を得ているとして非難していた。