トランプ氏、イラン巡るG7共同声明に署名しない方針
加アルバータ州カルガリー(CNN) 米国のトランプ大統領は、カナダで開催されている主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、イスラエルとイランの緊張緩和を求める共同声明に署名しない方針だ。声明はG7首脳らが草案を作成した。事情に詳しい人物が明らかにした。ただ声明を準備した当局者らは、トランプ氏が最終的に納得して署名することを依然として期待している。
欧州の当局者が先頭に立って作成した草案は、イスラエルの自衛権を認める一方、イランの核兵器の保有は認めない内容を盛り込む。声明に署名しないとするトランプ氏の判断は、即座に他の首脳らとの意見の分断を引き起こした。
フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相、英国のスターマー首相は、ホスト国カナダのカーニー首相と共に合意をまとめたいとしている。
しかしG7のような多国籍の組織にかねて疑問を呈しているトランプ氏は、現時点で署名を控える意向を示唆。世界の主要な民主主義国による姿勢の表明を控える方針だという。
ホワイトハウスのある高官によれば、トランプ氏は現時点で共同声明に署名する理由がないと感じている。イスラエルとイランの対立については既に自ら公言しているからだという。声明が各国首脳間の結束を示すことになるのではないかと問われると、この高官は、トランプ氏が他の首脳らの要請に応えサミットへ出席することが同氏なりの結束の表明だと回答した。
カナダの高官は、G7首脳の代表団が引き続き共同声明の文言を検討する方針だと説明。とりわけ欧州の首脳は依然として合意に達する希望を捨てていないとしている。
トランプ氏は16日午前、サミット開催前に記者団に対し、イランがイスラエルとの緊張緩和を願っているとの認識を示した。両国の衝突は4日目に入っている。
一方で、米軍が紛争に関与する事態は想定されるかどうかについては明言を控えた。米国側からイスラエルにどのような情報を提供しているのかについても、トランプ氏は「それについては話したくない」と明確にしなかった。
米国のイスラエルに対する影響力を踏まえ、G7首脳らは米国がどの程度の期間紛争の継続を許容するつもりなのか、よりはっきりとした見通しを求めている。またトランプ氏がイスラエルのネタニヤフ首相に緊張緩和への圧力を掛ける計画なのかどうかも明確にしたいと考えている。欧州の当局者らが明らかにした。
既にトランプ氏とマクロン氏との間には、ロシアのプーチン大統領が紛争への仲介で果たす役割を巡って意見の相違が浮上している。