米国防長官、アジア同盟国に防衛力強化要請 中国の「差し迫った」脅威に直面で
(CNN) ヘグセス米国防長官は31日、アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で演説し、アジア太平洋地域と世界に向けて深刻な警告を発した。台湾を巡る中国の企みが世界の平和と安定に脅威を突きつけており、「我々の同盟国とパートナー国は防衛において自らの役割を果たす」必要があるとの認識を示した。
ヘグセス氏は会合での演説で、「オブラートに包む理由はない。中国が突きつける脅威は現実のものだ。差し迫っている可能性もある」と指摘した。
中国人民解放軍(PLA)は対台湾軍事行動を想定した訓練を毎日のように実施しており、「中国政府はインド太平洋地域のパワーバランスを変える目的で軍事力を行使する可能性に備え、準備を進めているとの信頼できる情報がある」とも明らかにした。
ヘグセス氏はまた、中国の習近平(シーチンピン)国家主席が軍に対し、2027年までに台湾侵攻の準備を整えるよう命じたと指摘。台湾は民主主義を掲げる人口2300万人の島で、中国共産党は自国の主権的領土だと主張するが、実際に統治したことは一度もない。
ヘグセス氏は「PLAはそのために必要な軍を建設中だ。毎日訓練を実施し、実戦に向けた演習を重ねている」と述べ、1月の就任以来まれに見る強い調子で中国を批判した。
そのうえで「中国の近隣地域や世界に対する行動は目を覚ませという警鐘だ。しかも緊急のものだ」との認識を示した。
一方で、米国だけでは中国の脅威を抑止できないとして、他の国にも中国に対抗する「戦力増強要因」となるよう呼びかけ、「我々は同盟国およびパートナー国が防衛において自らの役割を果たすことを求める。実際、強く要求している」と述べた。
ヘグセス氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国が防衛費を国内総生産(GDP)の5%まで引き上げていることを引き合いに、アジア諸国に対して防衛費増額を要求。「欧州の国がそれだけの取り組みをしているのに、より手強い脅威に直面するアジアの主要同盟国の方が防衛費が少ないのは理にかなわない。言うまでもなく北朝鮮の存在もある」と指摘した。