トランプ氏激怒の造語「TACO」、チームから報告なかったことにも苛立ち 情報筋
(CNN) トランプ米大統領の関税政策を巡って生まれた新たな用語「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつも怖じ気づいてやめる)」。トランプ氏は28日に記者からこの造語について聞かれ激怒したが、そこには理由があった。
ホワイトハウス高官は、トランプ氏はこの用語をまだ知らなかったと明かし、大統領が不意を突かれたことを認めた。トランプ氏はこの時「そんな言葉は聞いたことがない」と述べ、「最も不快な質問だ」と形容していた。
「トランプ氏は記者が自分をチキン(臆病者)呼ばわりしていると思ったようだ」。高官はそう指摘し、トランプ氏がいら立ちを示したのは「当然だ」と言い添えた。
TACOという頭字語は5月上旬、英紙フィナンシャル・タイムズのコラムニストによって考案された。ウォール街の一部では、トランプ氏は関税の脅しをかけても大抵引き下がるため、トレーダーが過度に心配する必要はないということを示す略語として使われている。
事情に詳しい複数の情報筋によると、問題のやり取りの後、トランプ氏は自らのチームに対しても不満をぶつけたという。いら立ちの原因はTACOという言葉だけでなく、この言い回しが注目を集めていることをチームから聞かされていなかった点にもあった。
今回のエピソードからは、何が最もトランプ氏の不興を買うのかが垣間見える。トランプ氏は明らかに、自らの関税調整が「弱腰」と受け取られることを快く思っていない。トランプ氏のリアルタイムの反応はまた、自分では不可欠な交渉戦術とみなしている手法がTACOという略語で小ばかにされたと受け止めたことも物語っている。この点についてトランプ氏は28日、関税率を「ばかばかしいほど高い数値」に設定しておき、他国が譲歩すれば引き下げるケースもあると説明した。
事情に詳しい関係者の1人は、「トランプ氏は明らかに気分を損ねていたが、その理由は主に、こうした脅しを実際どう活用しているのか理解されていないことが示されたためだ」と解説。「だが言うまでもなく、トランプ氏は弱さを好意的に受け取る男ではない。だから、自らの行動に関してそう考える人間が1人でもいると思えば、快くは受け止めない」とも付け加えた。
この1週間だけを見ても、トランプ氏は欧州連合(EU)に対して50%の関税をちらつかせた後、より具体的な協議を行う見返りに期限を延長した。中国に対しては、先月の合意を順守させる目的で貿易戦争を再燃させる構えも見せている。先月、トランプ氏は中国からの輸入品に145%の関税を課し、今月に入り30%に引き下げていた。