混沌の中の静寂 モロッコの宗教学校を巡る旅

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天井の装飾も美しい

天井の装飾も美しい

サレは大西洋沿いの古い城塞(じょうさい)都市で、首都ラバトからはブーレグレグ川で隔てられているのみ。アブアルハサンは狭い路地の奥、学校やモスク(イスラム教礼拝所)の裏手にある。ベンユーセフやブーイナニアに比べかなり規模が小さいが、偉大さでは劣らない。

記者が天井に頭を向けると2階の窓から光が流れ込み、床や無数の柱を飾る色鮮やかなタイルに反射していた。

ベンユーセフはモロッコで最も有名で訪問客が多いマドラサであり、こうした一人きりのぜいたくは味わえなかった。記者がマラケシュ旧市街の雑踏のなか、曲がりくねった路地の奥のマドラサにたどり着いた際は、少なくとも100人が押し寄せていたはずだ。

だが中庭に足を踏み入れると、周囲の喧噪(けんそう)は消えた。マドラサは記者がこれまでに見た中で最も壮麗な人工空間だった。周囲の訪問客はいずれも建物を間近で観察して言葉を失い、指でその表面をなぞったり、複雑精妙なデザインに感嘆したりしていた。

こうした豪華な空間の中で集中するのは生徒にとって容易なことではなかっただろう。授業が行われなくなって久しい今日でも、マドラサは依然として学びの場であり続けている。現在のカリキュラムは「美」だ。

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