自動運転タクシーの夜間騒音に苦情噴出、妨害活動の住民も AIと人間は共存できるか

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自宅の窓からウェイモの駐車場を眺めるサンタモニカの住民/Daniel Cole/Reuters

自宅の窓からウェイモの駐車場を眺めるサンタモニカの住民/Daniel Cole/Reuters

サンタモニカ市の広報は「市にはウェイモの営業を規制する権限がない。自動運転車両やタクシーのサービスは、カリフォルニア州公益事業委員会と州運輸局が許可を出している」と指摘する。しかし公益事業委員会は乗客の安全のみを管轄していると説明。州運輸局に取材すると、ウェイモと地元の法執行機関に問い合わせてほしいと告げられた。

CNN取材班はある晴れた午後、サンタモニカでスタッカー・ワンの話を聞き終えようとしていたところで、既に満車状態の充電駐車場のゲート前にウェイモのタクシーが集まって渋滞を引き起こしている場面を目撃した。駐車違反を取り締まるサンタモニカ警察の警官が忙しそうに駐車違反切符を切っては自動運転タクシーのワイパーに差し込んでいる。運転手がいない状態で裏通りに車を止めることは法律で禁止されている。もし人間の運転手が乗っていれば、駐車違反切符を切ることはできない。ロボット相手なら切ることができる。

一方、カリフォルニア州の州法では現時点で、ロボット相手に交通違反切符を切ることはできない。州議会は車両に対しても人間の運転手と同じように罰金を科すことができるよう、法改正を検討しているが、ロボットを所有する企業に対して300ドルの罰金の抑止効果があるのかどうかは疑問だ。

「解決策はあの車を車として扱うことだ」と話すミュージシャンのグレイソン・スモールさんの自宅は、ウェイモの駐車場につながる通りに面している。距離が離れているため騒音には悩まされずに済んでいるが、安全面で不安がある。「ほら、今も見える」と指さした先では、ウェイモの車が横断歩道に差しかかっていた。「停止の標識があるのに全然止まらなかった。動き続けてる!」

自律システム政策研究所長を務めるシラキュース大学のハミド・エクビア教授は、「こうした技術が実用化される前に、一般市民が論議にかかわる必要がある」「AI技術は全て、このプロセスを経るべきだ」と指摘する。

ウェイモには、運転中に交通状況や潜在的な危険を検知するための各種センサーとカメラが搭載されている/Maggie Shannon/The New York Times/Redux
ウェイモには、運転中に交通状況や潜在的な危険を検知するための各種センサーとカメラが搭載されている/Maggie Shannon/The New York Times/Redux
ウェイモの車両に表示された歩行者のマーク=ロサンゼルス/Maggie Shannon/The New York Times/Redux
ウェイモの車両に表示された歩行者のマーク=ロサンゼルス/Maggie Shannon/The New York Times/Redux

しかし住民は、市民が論議する場はなかったと訴える。住民のテイラーさんは、市議会で質問したいと問い合わせたところ、「彼らは免除対象なので市議会は開かれない」と説明されたという。

ウェイモの問題についてエクビア教授は「氷山の一角にすぎない」といい、「手遅れになる前に対策を講じるべき」と指摘する。

ごみ出しに行ってロボットにひかれやしないかと心配になるというスモールさんは、「人間性や人間の幸福、喜び、そして常に迷惑な思いをせずに生活できることが犠牲になるのなら、一体何の意味があるのか」と問いかけた。

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