3億5600万年前の足跡化石、爬虫類の「進化史を塗り替える発見」 豪
従来の説では、魚と四肢動物の中間に位置する「ティクタアリク」のような動物が、デボン紀(約4億1600万~3億5920万年前)に少しずつ岸に上がり始めたとされていた。
新たな研究結果によれば、その時期にはすでに水生、ほぼ陸生、あるいは完全に陸生の大小さまざまな四肢動物が生息していたとみられる。
アルベリ氏は「本研究が示唆していることのひとつは、当時の四肢動物が思いのほか多様性に富み、高度に進化していたという点だ」と述べた。
生物がどの時点で水生から陸生へ移行したかを把握することは非常に重要だと、ロング氏は言う。生命進化の中でも特に大きな一段階だからだ。その結果、動物は水中や水辺にとどまる必要がなくなった。
移行を可能にした要因のひとつは、有羊膜類が殻の硬い卵を産むようになったことだ。その子孫が爬虫類や哺乳類に進化した。アルベリ氏は「地球の歴史や人類の起源においても非常に重要な出来事だ」と強調する。

マンスフィールド近郊の川沿いで化石の捜索が行われている/John Long
有羊膜類の起源をたどって
ロング氏は1980年以降、岩板が見つかったのと同じマンスフィールド地区で魚類の化石を研究してきた。
同地区では貴重な魚類の化石が数多く産出されてきたが、ロング氏は「私たちが常に探し求めていたのは陸生動物、初期の両生類のような四肢動物の痕跡だ。多くの人が探し続けたが、見つからなかった。この岩板が研究室に届くまでは」と語る。
研究者らはさらに、ゴンドワナ大陸には当時、ほかにどんな動物がすんでいたかを調べている。
専門家によれば、初期の有羊膜類の化石はこれまで主に北半球で発見されてきた。だが今回の研究は、その起源が南半球にあった可能性を示唆している。今後は、調査の範囲をデボン紀に続く石炭紀初頭のオーストラリアや南米、アフリカまで広げる必要がありそうだ。