琥珀に完全な姿で保存、9900万年前の花を発見 ミャンマー

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今回の発見は、被子植物の進化の初期段階を解明するヒントにもなり得るという/Shuo Wang

今回の発見は、被子植物の進化の初期段階を解明するヒントにもなり得るという/Shuo Wang

謎が解けた?

被子植物は白亜紀(1億4500万年前から6600万年前の期間)の化石に突然登場する。それ以前の地質時代には明確な祖先となる系統が見当たらず、「進化論」で有名なチャールズ・ダーウィンを困らせた。

ダーウィンが唱える自然選択説では、進化上の変化は長い時間かけてゆっくりと進むものとされる。これと直説矛盾する現象のように見えたため、ダーウィンはこれを「忌まわしい謎」と呼んだ。

スパイサー氏によれば、被子植物の正確な出現時期はわからないものの、この琥珀に保存された初期の花には謎を解明するヒントがあるという。

この標本は、火災の多い地域の花に見られる特徴と同じ特徴を有している。フィリカの全150種類が自生する南アフリカのフィンボス地域もそうした地域だ。今回発見された中には、一部が焼けた植物を閉じ込めている琥珀もあった。

スパイサー氏は「この初期の花の全詳細が琥珀に保存されており、それはまさに被子植物が世界に広がり始めた時期のものだ。それが示すのは季節的な乾燥環境へのすばらしい適応であり、植物が頻繁な野火に遭っていたことを裏付ける」と語る。

さらに「もし多くの初期の花が半乾燥地域で火災に遭っていたのなら、被子植物の進化の初期段階が化石の記録にほとんど出てこない理由がわかる。化石は通常、そうした半乾燥の環境では形成されないからだ」と述べた。

スパイサー氏は、火災は長期にわたり頻繁に起きていたと見る。進化の過程で、花が火災に対応できる形になり、焼けた土地で生き延びる種を生み出す形態になっていったとの考えだ。フィリカの場合、花は細枝の先に集まった葉によって守られている。

今日見られる多くのシダ類や裸子植物、一部の被子植物は恐竜時代に発達した。スパイサー氏は、今回発見された花の一つは、ほぼ同一の現存する種があるとわかった初の被子植物の化石になるとみている。

恐竜時代の琥珀の化石はミャンマー北部のカチン州の地層にしか見つかっていないが、近年、琥珀の産地で人権侵害に関する倫理的懸念が持ち上がっている。古脊椎(せきつい)動物学会は、軍が一部産地の実権を握った2017年以降にミャンマーから調達した琥珀について、研究を一時停止するように呼びかけている。

スパイサー氏は今回の琥珀は16年以前に地元の販売業者から入手し、当時の規則に基づき合法的に手に入れたものだと述べている。

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