古代エジプト人、ファラオ時代の1500年前から遺体をミイラ化

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ミイラを包んでいた亜麻布の繊維の拡大写真/Ron Oldfield

ミイラを包んでいた亜麻布の繊維の拡大写真/Ron Oldfield

樹脂と芳香性植物の抽出物には抗菌性があり、この抗菌性成分が虫を寄せ付けず、遺体下部の軟部組織を保護したのだろう。また遺体が緩やかに温められたことを示すいくつかの化学的痕跡が見られる。これは間違いなく、遺体を保存するための「レシピ」であり、恐らくは溶かした混合物の中に包帯を浸してから遺体に巻いていたのだろう。

エジプト人の創意工夫

亜麻布の放射性炭素年代測定により、このミイラが紀元前3700~3500年頃の遺体であることが分かった。

遺伝分析では細菌DNAは検出されなかった。恐らく、エジプトか博物館(最近まで館内の温度や湿度の調節がなされていなかった)の環境条件に細菌が耐えられなかったのだろう。

その結果、このミイラの男性が伝染病で亡くなったか否かは定かではない。また遺体が極めてもろい状態だったため、X線分析は行えなかった。

この完全なミイラから収集した情報と、われわれの以前の研究結果を総合すると、先史時代のエジプト人はすでに遺体の保存に必要なプロセスに関する知識を有し、来世に関する信仰の体系を構築していたことが分かる。

地中海東岸産の樹脂の使用から、彼らが遠隔地貿易を行っていたことが分かる。同様の成分は200キロ離れた墓で検出された香油にも使われており、さらにその約2500年後、遺体防腐技術が最盛期を迎えたファラオの時代でもこの成分がほぼ同じ割合で使われ続けていた。これは、古代エジプト人の創意工夫が永続的な性質を有していたことを物語っている。

豪マッコーリー大学古代史学科の主任研究員、ジャナ・ジョーンズ氏による寄稿

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