世界成長率2.3%に引き下げ、1960年代以来最悪の10年を警告 世銀見通し
ロンドン(CNN) 世界銀行の新たな分析によると、世界経済の成長は1960年代以降で最も低調な10年間に突入する可能性がある。世界銀行は報告書の中で、トランプ米大統領による貿易戦争が世界経済を圧迫する主要因になっていると指摘した。
世界銀行が10日に公表した最新の世界経済見通しによれば、米国の相手国に対する一連の新たな関税によって、世界経済の成長率は、景気後退の時期を除けば、2008年の金融危機以降で最低の水準にまで落ち込む見通し。
世界銀行は、関税による新たな景気後退は予測していないものの、今年と来年の見通しが現実のものとなった場合、20年代の最初の7年間の平均の経済成長率は1960年代以降のどの10年間よりも低水準となるとの見通しを示した。
今回の経済見通しでは、今年の世界の成長率を2.3%と1月時点の2.7%から下方修正した。各国の関税が5月下旬時点の水準で維持されることを前提としている。
これにより世界経済は過去の2度の世界的な景気後退を除けば、過去17年間で最も低い成長率に落ち込むことになる。2009年はリーマン・ショックの影響が出たほか、20年は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の最初の年だった。
世界銀行は報告書で「急激な関税引き上げとそれに伴う不確実性が、幅広い国・地域で成長鈍化と見通し悪化を招いている」と指摘。関税を巡る「緊張の高まり」が「混乱」を引き起こし、世界の約7割の国・地域で成長率予想を引き下げたと明らかにした。