ボクシング世界王者、トランプ氏をウクライナに招待 「目を開けて人々を助けて」
ボクシング世界王者、トランプ氏にウクライナ訪問を呼び掛け
(CNN) ボクシングのヘビー級3団体統一王者オレクサンドル・ウシク選手は10日までにCNNのインタビューに答え、米国のドナルド・トランプ大統領に対し、ロシアの全面侵攻との戦いを続けるウクライナへの支援を呼び掛けた。
「トランプ大統領、どうか目を開き、私の国民を助けてください」と、ウシク選手は語った。
ヘビー級のWBC、WBA、WBO王者であるウシク選手は、米大統領選でトランプ氏が24時間以内に戦争を終わらせると約束したことに触れ、その公約を果たすべきだと述べた。
「自分の発言に責任を持つべきだ」とウシク選手は語った。「トランプ氏は1カ月、あるいは1日でこの戦争を止めると言った。だが、自らの言葉に責任を負っていない。なぜそんなことを口にするのか」
ウシク選手はまた、トランプ氏を首都キーウの自宅に招待した。そうすることで、毎日、無人機(ドローン)やミサイルによる激しい攻撃にさらされる一般のウクライナ市民が置かれた状況をよりよく理解できるようになるからだ。
「私の家を提供する」とウシク選手。「私の自宅と警備スタッフを提供する。完全な安全を保証する。1週間、私の家で暮らし、ロケット弾が頭上を飛び交う様子や、人々がどのように生活しているかを見てほしい」
さらに、誰にも知られないよう極秘に来てもらい1週間滞在してほしいと続けた。ロシア政府がトランプ氏の滞在を知れば攻撃するのをやめてしまうからだ。
クリミア半島シンフェロポリ出身のウシク選手は、キーウ郊外に居住していたが、ロシアが2022年にウクライナへの全面侵攻を開始した際はロンドンでテレビゲームの撮影を行っていて国外にいた。ロシア軍の戦車がキーウに迫ると、ウクライナに戻り首都を守る防衛隊に加わった。

破壊された発電所でサンドバッグをたたくウシク選手。最前線で働く労働者から話を聞いた=3月/Libkos/Getty Images
家族が暮らすボルゼルの住宅は、ロシア兵がホストメリやイルピン、ブチャなどの近郊を襲撃した際に占拠され略奪された。後には、大量の墓地と破壊の痕跡が残された。
「国のために戦ってほしい」と訴える負傷したウクライナ兵の願いに突き動かされ、ウシク選手はその後プロボクシング活動を再開したが、これまでに何度も前線を訪れ、仲間の兵士たちと連絡を取り続けている。
7月にダニエル・デュボア選手(英国)との試合を控え、2度目のヘビー級4団体統一を果たす可能性がある中でも、ウシク選手の心がウクライナから離れることはない。
「家族がキーウにいると、バランスを取るのは少し難しい」とウシク選手は語り、妻と2人の娘が国内に残っていることを明かした。「しかし、ウクライナ国民とウクライナ兵士が彼女たちを守ってくれると信じている」
「難しい状況だが、私は仕事に集中するために気持ちを切り替えられる。そうすれば後でより大きく祖国を支援できる。私は試合と準備に完全に集中している」