イスラエル軍のパレスチナ人に対する性暴力、国連報告書に記載の可能性 事務総長が通告
(CNN) 国連のアントニオ・グテーレス事務総長がイスラエルに対し、国連がまとめている性暴力に関する次回報告書で、イスラエル軍と治安部隊による性暴力に言及する可能性があると通告した。
グテーレス事務総長はイスラエルのダニー・ダノン国連大使に宛てた11日の書簡で、「イスラエル軍と治安部隊を次の報告書に記載する可能性があることを通告する。国連によって繰り返し記録されている特定の形態の性暴力について重大な懸念がある」とした。
国連は毎年、紛争下の性暴力に関する年次報告書をまとめている。
書簡の中で事務総長は、「イスラエル軍および治安部隊が、複数の刑務所や拘置所、軍事基地でパレスチナ人に対して行った違反行為に関して信頼できる情報」があるとして懸念を表明。「国連監視団の立ち入りが一貫して拒まれていることから、こうした状況下での性暴力のパターン、傾向、組織性について明確な判断を下すことは難しい」と述べ、性暴力を阻止するための徹底した対策を直ちに講じるようイスラエルに求めた。
イスラエルの人権団体ベツェレムが2024年にまとめた報告書でも、拘束されたパレスチナ人に対するイスラエル兵や看守の性暴力が横行している実態を指摘していた。
ダノン大使はグテーレス事務総長の書簡を「偏った報道に染まった事実無根の非難」と一蹴し、イスラム組織ハマスによる性暴力に照準を絞るよう要求した。
国連の委員会は今年3月、イスラエルがパレスチナ人の自決権を踏みにじる一環として「ジェンダーに根差す性暴力や生殖に関する暴力を行使するケースが増えている」と結論付けるとともに、「性と生殖に関する医療施設の組織的な破壊を通じたジェノサイド行為」を指摘していた。