ウクライナ東部の一部をロシアへ割譲する停戦案、米が受け入れる可能性に住民はパニック

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ロシアのドローン(無人機)攻撃で火災が発生した食料庫=9日、スラビャンスク/Pierre Crom/Getty Images

ロシアのドローン(無人機)攻撃で火災が発生した食料庫=9日、スラビャンスク/Pierre Crom/Getty Images

スラビャンスク(CNN) クレムリン(ロシア大統領府)がウィトコフ米特使に対し、停戦と引き換えに東部ドンバス地方の割譲を提案したことは、同地域が突如としてロシア領になる可能性を意味している。ロシアはまだドンバスを制圧していない。この動きはスラビャンスクの静かな浜辺にさえ、地元の記者ミハイロさんが「パニック」と呼ぶ状況を引き起こしている。

ミハイロさんは「友人の多くはここに残りたがっているのに、私たちは皆ここを去らなければならない」と話す。一方で「でも、率直に言って、そんなことは起こらないと思う」ともいい、トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が進めている外交は失敗に終わる可能性があるという挑戦的な思いもにじませる。

ミハイロさんは「トランプの間違いは、彼を泥沼から引き上げたことだ。引き上げて、『ウラジーミル、君と話したい。君のことを気に入っている』と言った」「彼は毎日ウクライナ人が死んでいることを気にもとめなかった」と批判した。

ウィトコフ氏とクレムリンの間で交わされたとされる合意のうわさはすでに戦争で荒廃したドネツク州全域の人々の生活をさらに混乱させている。取引についての詳細は混沌(こんとん)としており、ウクライナ政府は即座に拒否したとされる。

スラビャンスクの町は、2014年にロシアの代理勢力である「分離主義者」によって占領され、その後ウクライナ軍が奪還した。今回の侵攻でロシアに再び脅かされるリスクに備え、西側には急きょ新たな溝が掘られた。しかし、主要同盟国である米国が、自分たちの故郷を割譲するという考えを受け入れるかもしれないとは、誰も想像していなかっただろう。

数キロ圏内で唯一機能している産科病棟で、タイシヤさんは10日に生まれたばかりの娘をなでている。スラビャンスクで生活することのリスクは、突如として何倍にも膨れ上がった。

ニュースを見たというタイシヤさんは、「それは本当にひどいことだ。でも、私たちに影響を与える力はない。私たちが決めることではない。人々はただ家を手放すだけだろう」と語った。

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