欧州各地で記録的な山火事、市長は「生きたまま焼かれている」と訴え スペインでは43度越え予想
(CNN) 欧州大陸の山火事による焼失面積が今年に入り、過去19年間で最大となっている。CNNが欧州森林火災情報システムのデータを分析して明らかになった。
フランス、スペイン、アルバニア、ポルトガル、ギリシャを含む欧州大陸の広い地域では気温が37度を超え、猛烈な山火事が発生している。
欧州での山火事は珍しくないが、気候危機による気温の上昇と乾燥の深刻化が山火事の激しさを助長している。
これまでに約97万ヘクタールが火災で焼失している。これは通常8月初旬までに焼失するとされる平均35万ヘクタール強の倍以上だ。2025年は欧州で最も広範囲に及ぶ山火事シーズンになるとみられている。
ロイター通信によると、スペインでは11日にマドリード近郊のトレス・カントスで大規模な火災が発生し、約1000ヘクタールが焼失。重度のやけどで男性1人が死亡した。
南部の町タリファでは海岸沿いで山火事が発生し、観光客を含む約2000人が避難した。

スペインの人気観光地タリファで火の手が上がる様子=11日/Nono Rico/Europa Press/Getty Images
スペイン各地では今週、気温が43度を超える見込み。スペイン国立気象局(AEMET)は12日、猛暑について「極めて危険だ」と警告した。
ポルトガル全土でも火災が発生している。欧州のコペルニクス緊急管理サービス(CEMS)によると、中部トランコゾ近郊で発生した大規模火災は、3000ヘクタールあまりを焼き尽くした。
北部のビラ・レアル地区では、10日間にわたって火災が発生している。ロイター通信によると、ファバイオス市長は「私たちは生きたまま焼かれている。こんな状況は続けられない」と訴えた。
同国の気象当局IPMAは、12日と13日に国内の多くの地域で気温が40度を超えると予想している。
欧州は世界で最も急速に温暖化が進んでいる大陸であり、記録的な猛暑と干ばつが今夏の山火事を助長している。科学者らは、人為的な気候危機が深刻化するにつれ、山火事の頻度と激しさは増すと警告している。