米首都ワシントンの治安は中南米より悪い? トランプ大統領の主張は本当か
(CNN) 米国のドナルド・トランプ大統領が首都ワシントンの治安について、中南米のメキシコ市やボゴタ(コロンビア)、リマ(ペルー)よりも殺人事件の発生率が高いと主張している。
トランプ大統領は11日の記者会見で、首都警察を連邦政府の直轄下に置き、州兵800人を派遣して「首都を取り戻す」と発表した。
その上で、「ワシントンの殺人事件発生率は、世界最悪といわれるコロンビアのボゴタやメキシコ市などよりも高い」と主張。「全てが2倍、3倍だ。そんな場所に住みたいと思うだろうか? 私はそうは思わない」とした。
この主張の根拠は2024年の状況を示すグラフにある。それによると、住民10万人あたりの殺人事件発生率はワシントンが27.5人。トランプ氏によれば、これはボゴタ(15人)、パナマ市(15人)、コスタリカの首都サンホセ(13人)、メキシコ市(10人)、リマ(7.7人)、ブラジルの首都ブラジリア(6.8人)を上回る。
しかしCNNの分析によると、ワシントンの殺人事件は23年に急増して274件を記録して以来、大幅に減少。24年は187件に減り、25年に入っても減少傾向が続く。犯罪専門家によれば、25年7月までに発生した殺人事件の件数は23年に比べて34%減り、24年の凶悪犯罪発生率は1966年以来で2番目に少なかった。
ワシントン首都警察の集計でも、25年の犯罪件数は全般に減少している。
ワシントン市のミュリエル・バウザー市長は大統領の発表を「前代未聞」と位置付けて警戒感を示す一方で、全く予想していなかったわけではないと述べ、首都警察の組織図は「何も変わっていない」と強調した。