駆け落ちした英国貴族とレイプの前科を持つ男、赤子の死で逮捕されるまで

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逃走中の両被告の姿を捉えた防犯カメラの映像=ロンドン・ホワイトチャペル/Metropolitan Police/PA Wire

逃走中の両被告の姿を捉えた防犯カメラの映像=ロンドン・ホワイトチャペル/Metropolitan Police/PA Wire

翌日2人はベビーカーを購入したものの、これは生まれたばかりのビクトリアちゃんには大きすぎた。警察によると、2人は路地にベビーカーを捨て、赤ちゃんを買い物袋に移した。

その後の数週間で、市民から2人の目撃情報が相次いで寄せられた。1月16日には、ブライトン近郊の自然保護区でテント生活を送る姿が目撃された。この地域の夜の気温は氷点下になることが多いが、2人が1カ月以上テント暮らしを続けていた。

王立検察局(CPS)によれば、これ以前に2人はソーシャルワーカーから、赤ちゃんにテント暮らしをさせるのは「全く不適切」と警告されていたという。

2人が逮捕されたのは23年2月27日。ブライトン市内の店で目撃された後、身柄を拘束された。生まれたばかりのビクトリアちゃんの姿はどこにもなかった。

逮捕当日、ブライトンの店で監視カメラに捉えられたコンスタンス被告の姿/Metropolitan Police/PA Wire
逮捕当日、ブライトンの店で監視カメラに捉えられたコンスタンス被告の姿/Metropolitan Police/PA Wire

ロンドン警視庁が公開した路上での事情聴取の記録からは、警官が両親に赤ちゃんの居場所を尋ねたことが分かる。マーテン被告は質問に答えずに逮捕理由を尋ね返し、ゴードン被告は繰り返し食べ物を要求している。

その2日後、2人が滞在していた共同農園の小屋で、ビクトリアちゃんの腐敗した遺体が見つかった。病理医は死亡時の状況を特定できなかった。

ロンドン警視庁によると、マーテン被告は最終的に調べに対し、2人の睡眠中にビクトリアちゃんが死亡したことを明かした。

王立検察局はビクトリアちゃんについて、生まれた時期も死亡した時期も正確には不明だが、数週間にわたって生き延び、屋外で寒さに耐える生活を強いられていたようだと説明。防犯カメラの映像を見ると、着る物はろくに与えられておらず、帽子や靴下はおろか、毛布さえない状態だった。

王立検察局の上級検察官は「2人を無謀な行動へと駆り立てたのは、どんな犠牲を払っても赤ちゃんを手元に置いておきたいという利己的欲望だった。これが悲劇的な死をもたらした」と説明。警察の目を逃れようとして携帯電話を捨て、銀行カードも使わず食べ物に困るほどだったと指摘した。

2人の「お騒がせ行動」で法廷混乱

ロンドン中央刑事裁判所で行われた2人の公判の記録には、混乱を極めた法廷の様子が記述されている。

被告2人は法廷内でたびたび騒ぎを起こし、出廷しないことも多かった。

PAによれば、マーテン被告が陪審員にゴードン被告のレイプでの有罪歴を漏らす場面もあった。審理の公平さを確保するため、法廷ではこの情報は意図的に伏せられていた。

PAの報道では、マーテン被告は24年の公判と今月14日に終結した再公判で、計14人の弁護士を起用した。

ゴードン被告も2回の公判でそれぞれ5人の弁護士に依頼したが、再公判が終わりに近付くと、結局は自ら弁護を行った。

ロンドン中央刑事裁判所で証言するゴードン被告を描いた法廷画家のスケッチ/Elizabeth Cook/PA Wire
ロンドン中央刑事裁判所で証言するゴードン被告を描いた法廷画家のスケッチ/Elizabeth Cook/PA Wire

2人は24年の公判で児童虐待罪などによる有罪を言い渡されたものの、過失致死罪に関しては陪審が評決に至らず、王立検察局が再公判を請求。2人は有罪評決に関して上訴したが退けられた。

14日、2人は重大な過失致死の罪で全員一致の有罪評決を受けた。複数の英メディアの報道によると、ゴードン被告は被告席で上訴の意向を示したという。

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