北朝鮮、韓国は依然として「敵」 対話に「興味なし」
ソウル(CNN) 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記の妹で影響力を持つ金与正(キムヨジョン)氏は28日、韓国について、依然として「敵」であり、いかなる提案があっても対話には「関心がない」と明らかにした。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が声明を発表した。
与正氏の発言は、韓国政府が朝鮮半島情勢の緊張緩和に向けた動きを見せている中でのもの。6月に韓国で新たに李在明(イジェミョン)政権が発足してから、北朝鮮側が公式な立場を明らかにしたのは今回が初めて。
与正氏は、李大統領による融和的な姿勢について、米国との軍事同盟により朝鮮半島の南半分に与えた「汚点」を覆すものではないと主張。また、新政権が米国との同盟を再確認したことで、南北関係に改善の余地はないと指摘した。
与正氏は、新政権が前政権とほとんど変わらないとし、韓国と米国の同盟関係への「盲目的な信頼」を露呈したと指摘。「我が国の敵に対する認識を変えることはできず、歴史の時計の針を戻すこともできない」
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領は昨年12月、戒厳令を宣言。戒厳令は6時間後に国会によって撤回されたが、尹氏は北朝鮮の影響力に対抗するために必要だったと主張していた。
李政権は発足後、南北の緊張緩和のために非武装地帯(DMZ)での拡声器放送を中止し、北朝鮮に向けたビラ散布も取りやめている。
北朝鮮は2024年、長年掲げてきた平和統一路線を放棄し、南北をつなぐ道路や橋を爆破するなど敵対姿勢を強めている。
韓国統一省は声明で、北朝鮮の反応に過敏になることなく、朝鮮半島の平和共存を実現するため、和解と協力に基づく南北関係を築く努力を一貫して続けていくと述べた。