イラン最高指導者、統治史上「最も悲惨な状況」に直面 専門家分析
(CNN) イランの最高指導者ハメネイ師(86)は、米国による自国の核関連施設3カ所への攻撃を受け、イランのかじ取りを担って以降「最も悲惨な状況」に置かれている――。米シンクタンク「カーネギー国際平和基金」の専門家がそんな見方を示している。
カーネギー国際平和基金のカリム・サジャドプアー氏はCNNの取材に対し、ハメネイ師が「独裁者としての生涯で最も悲惨な状況」にあると言えるだろうと語った。
サジャドプアー氏は「ハメネイ師は地下壕(ごう)に身を潜めている。86歳だ。身体的にも認知能力的にも限界がある。軍の主要な司令官の多くが暗殺され、自国の領空を掌握していない。イスラエルが支配している」と指摘。「この戦争から抜け出す道はなく、軍事的にも、財政的にも、技術的にも劣勢だ」
ハメネイ師は、米軍がイランの主要核施設を攻撃して以降、公の場で声明を出していない。先週の演説では「イランは決して屈しない」と強調し、米軍のさらなる介入は「取り返しのつかない損害」を招くと警告していた。
イスラエルが提案したハメネイ師暗殺計画を拒否したとの報道の後、トランプ米大統領はハメネイ師について「簡単な標的」と発言していた。
イランへの軍事介入がレジームチェンジ(体制転換)を招き、イラン国内の分裂や中東地域全体に衝撃が及ぶのか注目されている。
ハメネイ師は、1979年のイスラム革命で米国が後ろ盾となった王政が倒されてから10年後に最高指導者の座に就いた。以降35年以上、権力の頂点に立ち続けてきた。
サジャドプアー氏は、ハメネイ師について「生き延びる本能と同時に反発する本能もある。その二つをどう折り合いをつけるかに苦しんでいる」との見方を示した。