英加など5カ国、イスラエルの極右閣僚2人に制裁 米国は制裁を批判
ロンドン(CNN) 英国とカナダなど5カ国は10日、パレスチナ人への暴力を繰り返し扇動したとして、イスラエルの極右閣僚2人に対し制裁を科すと発表した。占領下のパレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区とガザ地区でのイスラエルの行動をめぐり、西側諸国からの批判の声が強まっている。
対象はイスラエルのベングビール国家安全保障相とスモトリッチ財務相で、英政府によると、2人には渡航禁止と資産凍結が適用される。
ベングビール氏とスモトリッチ氏はいずれも極右政党を率い、ネタニヤフ首相の脆弱(ぜいじゃく)な連立政権を支えている。両氏は占領下のヨルダン川西岸やガザでの戦争をめぐる挑発的な発言で批判を浴びてきた。
制裁は英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーの外相5人が共同声明で明らかにした。
声明は「我々は、イスラエル人とパレスチナ人の双方の安全と尊厳、地域の長期的な安定を保証する唯一の道である『2国家解決』に断固として取り組んでいるが、それが過激派の入植者の暴力と入植地の拡大によって脅かされている」と述べた。さらにベングビール氏とスモトリッチ氏が過激派による暴力とパレスチナ人に対する深刻な人権侵害を扇動したなどと指摘した。
今回の制裁は米国との政策の違いを浮き彫りにする。欧州や英国がネタニヤフ政権への圧力を強める一方、トランプ政権は米国とイスラエルの同盟関係の堅持を繰り返し強調してきた。米政権はガザでの紛争終結を求めてはいるものの、先週はガザでの恒久的停戦を要求する国連安全保障理事会決議に拒否権を行使した。
米国のルビオ国務長官は10日、制裁を非難し、停戦の実現や人質全員の帰還、戦争終結を目指す米国主導の取り組みを前進させるものではないと述べた。
スモトリッチ氏とベングビール氏はいずれもヨルダン川西岸地区の入植地に居住している。パレスチナ人と国際社会の大半は同地を将来のパレスチナ国家の一部と見なしている。
両氏は10日、渡航禁止と資産凍結に反発し、政策を推進し続けると宣言。英国がかつてユダヤ人のパレスチナ入植を制限した植民地支配時代を想起させるなどと非難した。