「今の音は何?」、動画が捉えたタイタニック潜水艇の破裂音
タイタニック潜水艇事故、母船が捉えた「破裂音」
(CNN) 沈没した豪華客船タイタニック号の見学ツアーに向かった米潜水艇「タイタン」が水圧で押しつぶされた際に発したとみられる破裂音が、新たな動画の中に収録されていることが分かった。事故を調査する米沿岸警備隊・海洋調査委員会(MBI)が22日に動画を公開した。
動画は潜航中のタイタンを支援する母船の中を映したもの。タイタンの運営会社「オーシャンゲート」の創業者で事故により死亡したストックトン・ラッシュ氏の妻、ウェンディー・ラッシュ氏が小さな破裂音を耳にする瞬間を捉えている。
「今の音は何?」。ウェンディー氏はそう言って、隣に座る人物の方を振り返っている。
この時点でタイタンは水深約3300メートルまで到達。潜航を開始してから90分ほどが経過していた。
当該の「破裂音」は、タイタンが水圧で押しつぶされた瞬間のものと考えられる。しかしその直後、母船の乗組員はタイタンから重り2個を落としたとするメッセージを受け取っている。これにより母船には、タイタンが依然として平常通り稼働しているとの誤った印象が伝わった可能性がある。
米ロードアイランド大学海洋学大学院のクリス・ローマン教授はCNNの取材に答え、重りに関するメッセージは押しつぶされる直前に送られた可能性があるものの、届くのが遅れたために母船の乗組員がそれを目にしたのはタイタンの破裂の後だったと述べた。
ローマン氏の説明によれば、水中でデータを伝達するあらゆるシステムには「ある程度の固有な緩衝もしくは遅延」が発生する。それは信号を送るタイミングや処理の方法に関連したもので、コンピューターがどのタイミングでメッセージを表示するかは使用されているシステム次第だという。
当局の調査で判明した時系列によると、当該のメッセージを受け取ってから6秒後、母船はタイタンと連絡が取れなくなった。
2023年6月に発生したタイタンの事故を巡っては、今後数週間で2本のドキュメンタリー番組が放送される予定。番組は英BBCとネットフリックスがそれぞれ制作した。いずれも事故の原因について、さらに詳しく検証する内容になるとみられる。