米エヌビディア、中国へのAI半導体の出荷再開へ
(CNN) 米半導体大手エヌビディアは14日、人工知能(AI)半導体の中国への出荷を再開する方針を明らかにした。AI半導体は、米国と中国という世界の二大経済大国が競い合うAI開発競争の重要な駒とされる。
今回の発表の前には、エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が週末にトランプ米大統領とホワイトハウスで会談していた。フアン氏は、米国企業の対中輸出を制限すれば米国のAI分野の優位が損なわれると警告。規制によってエヌビディアは数十億ドルの収益が失われているという。
半導体大手のAMDも15日、対中向けAI半導体の販売再開を計画していると表明した。AMDによれば、商務省から、中国市場向けのAI半導体「MI308」について、輸出許可申請が審査に進むとの通知を受けたという。許可が下り次第、出荷を再開するとしている。
米国のベッセント財務長官は15日のブルームバーグ通信のインタビューで、エヌビディアへの輸出規制について、米中貿易交渉の「交渉材料」になっていると述べた。
エヌビディアは先ごろ、上場企業として世界で初めて時価総額が4兆ドルに到達。AIチャットボットやロボット、自動運転車などを支える同社の半導体が、その成長を牽引している。
エヌビディアは昨年、厳しい米国の輸出規制に対応し、中国市場への供給を維持するため中国市場向けに設計した半導体「H20」を投入した。
しかし4月、ホワイトハウスが同半導体の輸出に特別許可を求め、販売は停止。H20は中国の新興AI企業「ディープシーク」も使用したとされる。
エヌビディアは14日、H20の輸出許可を申請し、米政府から「まもなく出荷を開始できる」との確約を得たと発表した。
米政府は、中国が軍事やAIシステムを発展させるため米国技術を利用することを阻止する姿勢を取ってきた。
一方、フアン氏はCNNの番組で「米国が世界のリーダーとなるためには、世界が米ドルを基盤として構築され、米ドルを世界標準として活用することを望むのと同じように、米国の技術基盤が世界標準となることを望んでいる。インターネットが米国の技術で作られ、米国の技術の上に構築されていることを高く評価している。これからもその目標を目指し続けるべきだ」と述べた。