ANALYSIS

曖昧さに包まれたウクライナ軍の反転攻勢、これも計画通りか

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破壊された大学の建物や電波塔を捉えた激戦地バフムートの衛星画像/Maxar Technologies/Reuters

破壊された大学の建物や電波塔を捉えた激戦地バフムートの衛星画像/Maxar Technologies/Reuters

今後数週間、ウクライナが何を画策しているのかについては、ますます当惑させられることになるだろう。特定の重要なロシア軍の標的に対する攻撃が、占領地域の奥深くで、迅速かつ壮絶に遂行されるかもしれない。ミサイルとみられる攻撃によって、ロシア占領下のルハンスクにある大型のビルが狙われたように。

長さ1000キロに及ぶ前線の各地で、さらなる見せかけの反攻開始を目にする可能性もある。ドニプロ川を渡る大規模な急襲に対して脆弱(ぜいじゃく)な西部のヘルソン、ウクライナ軍が新たに前進・包囲する可能性を残す東部のバフムートは、引き続き危険な状態に置かれるはずだ。両市に挟まれたザポリージャも依然として脆弱で、NATOの訓練を受けた装備と精強さで上回る軍隊を相手に持ちこたえるのは至難の業だろう。

ロシアが占領によって獲得したこれら3都市の一つを失うことになった場合、それはプーチン大統領にとって、広い意味での戦略的敗北を喫する最初のリスクとなるはずだ。

ゼレンスキー氏は勝利を確実視しつつも、西側の供与するより優れた装備が迅速に届かなければ、さらに多くのウクライナ人が命を落とすと指摘した。ここまでのウクライナの作戦にとって、この主張は重要だ。ウクライナ人の命は神聖であり、その喪失は疑いなく大きな意味を持つ。一方でウクライナ側はそうした喪失を、敵軍の場合よりも格段に受け入れがたいものとみなしている。

弱体化したロシア軍の陣地への全面攻撃はいつでも可能な状況だ。同軍は兵站(へいたん)、指揮命令系統、士気のいずれも弱まっている公算が大きい。しかしさらに数週間、ロシア軍が混乱に陥り、戦線が間延びし、内部批判が一段と明るみに出るようなら、それによってウクライナ軍は人的損失を低下できるとみられる。

ロシア側からの混乱したメッセージがおそらくは内部分裂を示す稀(まれ)な兆候であるのに対し、ウクライナ側のそれには意志と覚悟が表れている。

本稿はCNNのニック・ペイトン・ウォルシュ記者の分析記事です。

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