終わりが見えない上海のロックダウン 不満強める住民、ゼロコロナ戦略に疑問

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人通りの絶えた道路の真ん中に立つ作業員/Chen Si/AP

人通りの絶えた道路の真ん中に立つ作業員/Chen Si/AP

しかしこうした対策は、政府に対する憤りや批判の声が高まる異例の事態を招いた。住民は、食料や医薬品といった必需品の入手が難しいと訴えている。

3月には上海で、ぜんそくの発作を起こした非番の看護師が、消毒のため閉鎖された自身の勤務先の病院の救急病棟に受け入れを拒まれて死亡した。上海の別の住民は、自宅で救急医療が必要な状態になり、病院にたどり着く前に死亡した。

「私たちはコロナで死んでいるのではなく、コロナ対策によって死んでいる」。大手SNSのウェイボー(微博)にはそんなコメントが書き込まれた。

今回の感染拡大は、オミクロン株「BA.1」と、オミクロンの別系統「BA.1.1」「BA.2」が引き起こしている。

BA.2は1月に発見され、世界保健機関(WHO)や米保健当局によると、世界でも米国でも新型コロナの主流株になった。

BA.2の台頭に伴い、1月の第1週以来、世界的に減っていた症例数は、再び増加に転じている。

これまでの研究では、BA.2は感染力が強いことが分かっているが、重症度についてはまだ研究段階にある。

BA.2については、1人の感染者が何人に感染させるかを表す基本再生産数を12とする疫学調査もある。つまり1人から平均で12人に感染する可能性があり、これは同じように空気感染するはしかに匹敵する。BA.1の基本再生産数はおよそ8と推定されている。

上海封鎖が長引く中で、国内外の専門家は、今回の感染拡大が中国のゼロコロナ戦略の終わりにつながる可能性に言及している。

NHCによると、中国の人口14億人のうち約78%が1日までにワクチン接種を完了した。

著名な専門家は3月上旬、ゼロコロナ戦略について「永遠に不変のままであり続けることはない」とウェイボーに投稿していた。

しかしそれはずっと先のことになりそうだ。中国国営環球時報によると、中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)首席疫学専門家の呉尊友氏は1日、「引き続き動的なゼロコロナ政策に重点を置く」と発言。他国のような規制緩和や国境の開放に踏み切れば、医療の逼迫(ひっぱく)や死者の増加といった多くの問題を引き起こしかねないと言い添えた。

上海を訪れた孫春蘭副首相は4日、ゼロコロナ達成のためには「より断固たる姿勢、より力強い行動、より効率的な調整」が必要だと強調した。

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