ポーランド、人工妊娠中絶がほぼ全面禁止に 首都で抗議のデモ
(CNN) ポーランドの憲法裁判所は25日までに、胎児に障害があった場合の人工妊娠中絶を違憲とする判断を示した。同国内での人工妊娠中絶がほぼ全面禁止される事態に近付いたことを意味する。
同国に既にある人工妊娠中絶を規制する関連法は欧州で最も厳格な水準にあるとされる。憲法裁の判断を受け、中絶手術が容認されるのは今後、レイプ、近親者間の性交渉による妊娠や母親の存命が危ぶまれる場合のみとなる。
ポーランド内での妊娠中絶の約98%は胎児の先天的な異常が理由とされる。関連法に関する変更は1993年以降で初めてだった。
妊娠中絶のより厳しい規制は、大衆迎合的な政策を進める保守系の与党「法と正義(PiS)」が過去数年にわたって推進。新型コロナウイルスの感染拡大の初期段階でも法案成立に動いていた。
同国国会では法案が最終的に否決されたが、憲法裁での審理にもつれ込んでいた。与党は
司法制度への介入を強め政権に批判的な判事の排除を図ったとの指摘もある。
憲法裁判所の判断後、ワルシャワに集まった人々/Czarek Sokolowski/AP
今回の憲法裁判所の判断が22日に発表された後、国政運営の事実上の仕切り役とされるPiS指導者の首都ワルシャワの自宅近くで数百人が参加する抗議デモが発生。デモは23日にも起き、機動隊が排除を試みた。15人が逮捕された。
欧州評議会の人権委員会は今回の憲法裁の判断に触れ、ツイッター上で「女性の権利にとって悲しい日」と批判。「ほぼ全ての合法的な妊娠中絶の土台を除去することは人権の禁止や違反に等しい」と指弾した。