英検察、ロシア人2人に逮捕状 神経剤ノビチョク襲撃事件
ロンドン(CNN) 英国とロシアの二重スパイだったとされるロシア人男性とその娘が英イングランドで神経剤ノビチョクを使って襲撃された事件で、英国の検察は5日、ロシア国籍の男2人に対する逮捕状を取ったと発表した。
この事件では、元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリア氏が3月4日に南部ソールズベリーで襲撃され、スクリパリ氏とユリア氏は一時重体に陥った。
英当局が逮捕状を取ったのは、アレキサンダー・ペトロフ容疑者とルスラン・ボシロフ容疑者。殺人未遂容疑のほか、化学兵器の使用を禁じた法律に違反して神経剤のノビチョクを使用・保持した疑いが持たれている。
2人は偽名を使って渡航していたと思われ、いずれも既に英国から出国している。
メイ首相は議会に対し、2人はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の要員と思われると語り、ロシアの国家上層部が関与しているのはほぼ確実だと強調した。
これに対してロシア外務省報道官は、「ロシアが関与したという主張や、マスコミが報じた氏名や写真などは、我々にとって何の意味もない」と反論している。
ロシアは自国民を国外に引き渡すことを憲法で禁じているため、英検察はロシアに対して2人の引き渡しは求めない方針。欧州の逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)を通じて国際手配する。
英国の国連大使によると、国連安全保障理事会は6日に会合を開き、この事件の進展について協議する。神経剤の使用について話し合われた前回の会合では、ロシアと英国が激しく衝突した。
警察や検察によると、ペトロフ、ボシロフの両容疑者が3月に2泊したロンドン東部のホテルの客室からは、ノビチョクの痕跡が見つかった。