シリア政府軍、アレッポ包囲で補給路遮断 住民襲う食料難
(CNN) シリアのアサド政権軍が反政府派掃討を進める同国北部アレッポ市の戦況に関連し同市居住の報道写真家は28日までに、政府軍は市東部の反政府拠点に対する圧力を強めており、住民が確保出来る食料や水は払底しつつあるとの窮状を明らかにした。
報道写真家のカラミ・アル・マスリ氏がCNNに証言したもので、住民の空腹感は募る一方となっていると説明。多くの市場が閉鎖し、食料調達のために長い行列が出来ており、家族1世帯が得られるパンは2日ごとの6個のみだという。
シリア軍は27日、部隊と支持勢力が同市を包囲しているとし、反政府派拠点に通じる全ての補給路と回廊の切断を発表していた。国営シリア・アラブ通信(SANA)は、軍は反政府派に対し保持する全ての武器引き渡しや、市内から立ち去るかもしくはとどまるよう求めたと伝えた。
住民は市内から退去を促す政府の文書を受け取ったとの情報もある。ただ、マスリ氏は住民が退避を望んでもかなわない状況にあると指摘。市の東側地区は軍が完全封鎖し、全ての道路が切断される包囲下にあると述べた。
また、住民は政権軍が同市に進攻した場合、殺害される不安も抱いている。アレッポ市内での市街戦は難しいことから軍の市内への進攻はない事態も有り得るが、住民を飢餓状態に直面させて投降を待つ選択肢を取る可能性があるとも述べた。
在英の反体制派「シリア人権監視団」によると、シリア軍のヘリコプターは26日、アレッポの一部地区に殺傷力の高い「たる爆弾」を投下し、少なくとも住民5人を殺害した。国連はアレッポ市の現状を踏まえ人道危機が発生しかねないことへの深刻な憂慮を表明した。