マスク氏とプーチン氏が定期的に会話との報道、NASA長官が調査求める
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官は25日、米スペースX創業者のイーロン・マスク氏を巡る米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を調査するよう求めた。報道によるとトランプ前大統領の支持者でもあるマスク氏は、ロシアのプーチン大統領と2022年後半以降「定期的に連絡」を取っているという。
報道ではマスク氏が「個人的な話題やビジネス、地政学的緊張」についてプーチン氏と議論していたと伝えており、国家安全保障上の懸念を引き起こしている。スペースXはNASAや米軍と関係を構築しており、マスク氏には政府の機微な情報及び米諜報(ちょうほう)へのアクセスが認められる可能性があるからだ。
米ニュースメディア「セマフォー」のインタビューに答えたネルソン氏は「その話が本当かは知らない。調査するべきだと思う」「マスク氏とロシアの(プーチン)大統領が何度も会話しているという話が本当なら、憂慮すべき事態になると思う。とりわけNASAや国防省、一部の諜報機関にとって」と述べた。
米当局者の間では、マスク氏がロシアなど米国の敵国と交流することについて昨年にも防諜上の懸念を訴える声が上がっていた。ただ米諜報機関はマスク氏が米国人であるとの理由から、それらの交流を調べることに対して慎重だという。事情に詳しいある当局者がCNNに明らかにした。
ホワイトハウスの複数の当局者はWSJの取材に対し、マスク氏とプーチン氏の接触について関知していないと述べた。同紙は両者のやり取りにまつわる事柄が「政府内ではごく内々での秘密事項とされているようだ」と伝えた。同紙がそうしたやり取りを確認したのは、米国や欧州、ロシアの現もしくは元の当局者数人を通じてだという。
やり取りの一例として、同紙はプーチン氏からマスク氏への要請を引用した。この中でプーチン氏は、スペースXのスターリンクが提供する衛星インターネットサービスを台湾に対して作動させないよう求めている。「中国の習近平(シーチンピン)国家主席への配慮」だという。
マスク氏はWSJからのコメント要請に応じなかった。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は25日、当該の報道は目にしたとしつつ、ホワイトハウスはその内容を裏付ける立場にないと指摘。質問はマスク氏にするよう促した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、WSJに対し、マスク氏とプーチン氏が電話で話したのは1度だけであり、その内容は「宇宙と現在及び将来のテクノロジー」に関するものだったと説明した。