ゼレンスキー氏の歴史的な米首都訪問、5つのポイント

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バイデン氏とゼレンスキー氏、会談後に共同会見

(CNN) 自らの国がロシアに侵攻されてから300日、ウクライナのゼレンスキー大統領は米首都ワシントンへ飛び、次の300日の行方を占う会談に臨んだ。

ゼレンスキー氏の歴史的な訪米は、象徴的な意味合いに満ちていた。本人はくすんだグリーンのスウェットシャツを着用。迎えるバイデン大統領のネクタイは青と黄のストライプというデザインだった。下院の議場でウクライナの戦旗が広げられる一幕もあった。

しかし今回の訪米の意義は象徴的意味合いを大きく超えるものだった。ゼレンスキー氏が危険なウクライナ国外への渡航に踏み切ったのは戦争開始以降初めて。バイデン氏がゼレンスキー氏をワシントンに招待したのは、電話ではなく対面での会談でこそ実質的な成果が得られるという確信があったからだ。

会談を終えた両者は、戦争が新たな段階に突入したとの認識を明確にした。ロシアが前線に送る部隊を増強し、容赦のない空爆を民間の標的に対して行う中、戦局が膠着(こうちゃく)状態に陥るとの恐れが高まっている。

ゼレンスキー氏はワシントンを後にし、長く危険なウクライナへの帰路についたものの、紛争の終結に向けた道筋がいくらかでも明らかになったのかどうかは判然としなかった。

戦争終結の方途を探ろうとするバイデン氏とゼレンスキー氏

戦争の終結を巡るゼレンスキー氏の立ち位置を明確にすることは、同氏をホワイトハウスに招く利点の一つだった。同氏は以前、「公正な和平」によって紛争が終結するのを強く望むと表明。米当局者らは、21日の会談でもこの点が議論の中心になるとの見方を示していた。

しかし同日、ゼレンスキー氏は好戦的な言い回しを用いてそのような和平には近づいていないとの認識を示唆。戦争終結への道はロシアへの譲歩に関連するものとはならないと述べた。

「大統領としての自分にとって、『公正な和平』とは譲歩ではない」とゼレンスキー氏は強調し、ウクライナが領土と主権の明け渡しをのむ形では和平へのいかなる道筋も見いだせないとの考えを示した。

この後、連邦議会での演説でゼレンスキー氏は10項目からなる和平案をバイデン氏に提示したと発表。ただ複数の米当局者らによれば、その内容は先月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で提案したものと同じだったという。

ゼレンスキー氏の支援に集結した西側諸国の間では、同氏の長期的な計画がどのようなものになるのかについての懸念が依然として消えていない。

バイデン氏は、どのような形での戦争終結を望むのかはゼレンスキー氏が決めることだと指摘。以前からある見方だが、それにまつわる多くの疑問には答えが出ていない。

聴衆への見せ方を心得たゼレンスキー氏

ゼレンスキー氏は、国会議員に向けた演説の中で米国の歴史への言及をちりばめた。具体的には勝敗に重大な結果を及ぼした独立戦争中のサラトガの戦いや、第2次世界大戦でのバルジの戦いを挙げた。

演説は英語で行い、服装も今や見慣れた陸軍の緑色のシャツに作業ズボン、ブーツを選択。聴衆に対し、自身が戦時のリーダーであることを想起させる狙いがあったと思われる。

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