「アジア系高齢者の安全を守りたい」、有志がエスコート活動 襲撃続発の米加州

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オークランドでのエスコート活動には数百人の有志が登録した/Courtesy Jacob Azevedo

オークランドでのエスコート活動には数百人の有志が登録した/Courtesy Jacob Azevedo

(CNN) 米カリフォルニア州サンフランシスコの歩道上で、84歳のタイ系米国人男性がいきなり突き飛ばされて地面に倒れ、死亡した事件。同州オークランド在住のジェイコブ・アゼベドさん(26)は、この現場をとらえた映像に衝撃を受けた。

わずか1時間ほど前にも、高齢のアジア系米国人がベイエリアでいきなり襲撃される映像をSNSで見たばかりだった。

中国の武漢で見つかった新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、アジア・太平洋諸島系(AAPI)の住民を狙った襲撃事件は全米で急増している。

アジア系に対する憎悪や差別を記録している団体「ストップAAPIヘイト」のまとめによると、2020年3月19日~12月31日の間にアジア系に対する憎悪を目撃したという情報は、米47州とコロンビア特別区で2808件を超え、うち7.3%は60歳以上のアジア系米国人が巻き込まれていた。

ベイエリアでも高齢のアジア系米国人が襲撃される事件が急増したことを受け、活動家や地域社会の指導者は懸念を強めている。

アゼベドさんはSNSを通じ、こうした人たちが安心して出歩けるよう、オークランドのチャイナタウンを自分が一緒に歩くことを提案した。

「自警団になるつもりはなかった」「ただ安心感を感じてもらいたかった」とアゼベドさんは言う。

この活動が共感を呼び、わずか数日で300人近いボランティアが加わって、地域社会を守るためのプロジェクト「コンパッション・イン・オークランド」を結成した。

ヒスパニック系米国人のアゼベドさんは、今こそ少数派の住民がアジア系米国人社会と連帯すべき時だと訴える。アゼベドさんによれば、アジア系住民を支えたいという共通の思いから、あらゆる人種や年齢の人たちが集まったという。

「この社会は癒やしを必要としている」「前大統領の発言が原因で人種的な緊張が続いたが、全般的に私たちの社会は癒やしを必要としている」(アゼベドさん)

ストップAAPIヘイトの共同創設者、シンシア・チョイさんは、アジア系住民に対する犯罪や暴力は今に始まったことではないと述べ、「この問題は、特に低所得層ではあまり注目を浴びなかった」「パンデミックが状況を悪化させ、人種格差を露呈させた」とみる。

弱者が狙われる危機的な状況の中で、地域住民が行動を起こすのは心温まる出来事だとチョイさんは言い、「これは不安を感じる高齢者や外出をためらう高齢者に、私たちがあなたを支えたい、私たちが今、あなたを支えていると伝えること」と話している。

将来的には警察などと連携して地域社会を守りたいとアゼベドさんは語り、「この地域がもっと安全になることを望むなら、私たち全員が結束する必要がある」と力を込めた。

同団体は13日にボランティア数人が街頭に出て活動を開始した。引き続き啓発活動にも力を入れる意向だ。

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