米コロナ対策チームが報告した深刻な現実、大統領発言とは裏腹

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トランプ大統領を見つめる米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長/Chip Somodevilla/Getty Images

トランプ大統領を見つめる米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長/Chip Somodevilla/Getty Images

(CNN) 米下院の新型コロナウイルス小委員会は31日、ホワイトハウスの対策チームがまとめた8週間分の状況報告書を公表した。トランプ大統領はこの間、楽観的な見通しを語って経済活動の再開を呼びかける一方で、対策チームからは7月から8月にかけ、感染拡大が深刻化する状況について報告を受けていた。

対策チームは週に1回、各州の知事に報告書を提出しているが、これまで一般には公表せず、報告書に記載されたデータの信頼性も確認していなかった。

小委員会のジェームズ・クライバーン委員長(民主党、サウスカロライナ州選出)は声明で、「国民に情報を包み隠さず、問題に対処するための国家プランを作るよりも、大統領やその支援者はこうした警鐘を鳴らす報告書を公表せず、多くの国民に迫る脅威を軽視した」と述べた。

小委員会がこのほど公表した8件の報告書のは6月23日以降の週次報告で、直近のものは8月9日付だった。その後は流行の状況が変化して、一部地域では状況が改善、一部地域では悪化している。

8月9日の報告書では、各州ごとの症例数が郡ごとに分類して記載され、感染拡大防止のために州や自治体が講じるべき具体的な対策が提言されていた。

人口10万人当たり100例を超す症例が新規に確認されるか、検査の陽性率が10%を超えた州は「レッドゾーン」に分類されていた。8月9日の時点で20州がレッドゾーンだった。

「イエローゾーン」は人口10万人当たりの新規の症例が10~100例、または陽性率が5~10%の州と定義され、28州とコロンビア特別区がこれに該当していた。

「グリーンゾーン」はメーンとバーモントの2州のみだった。

この報告書が出された日にトランプ大統領は、新型コロナウイルスの症例数が増えたのは、検査が増えたためだと主張していた。しかしこれに反して多くの州では検査の陽性率が上昇し、流行の拡大をうかがわせていた。

トランプ大統領は、「症例が増えた理由は大きな検査だ。我が国の大部分はとてもうまくやっている。学校の開始を!」とツイートし、その週の記者会見でも学校の再開を訴えていた。

報告書のデータをさらに詳しく見ると、トランプ大統領が都合の良い部分を選んで拾い上げていた様子がうかがえる。

「フロリダは減っている。アリゾナも減っている。彼らは素晴らしい仕事をしている」。トランプ大統領は8月12日の会見でそう強調した。

確かにフロリダ、アリゾナの両州はその週、新規の症例数や検査の陽性率は減っていた。しかし両州ともまだかなりの感染拡大が続いていて、9日の報告書では依然として「レッドゾーン」に分類されていた。フロリダ州については「症例数が50人以上の郡に対してマスク着用の義務付けを検討する」といった対策を勧告していた。

一方、トランプ大統領は12日の記者会見で、「多くの地域は本当に素晴らしい状態にある。一部に問題はあったとしても、とても小さい」と発言していた。

ホワイトハウスは下院小委員会が報告書の公表に踏み切ったことを非難。ジャッド・ディア副報道官はCNNに寄せた声明で、「パンデミックが続く最中に、一部議員が無責任にも、大統領の記録を不当に歪める目的で、偏った報告書を公開した」と述べている。

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