米CDCの新指針、ファウチ所長が懸念表明
(CNN) 新型コロナウイルス対策をめぐって「無症状なら検査は不要かもしれない」とした米疾病対策センター(CDC)の指針に対し、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアントニー・ファウチ所長が懸念を表明した。
CDCが打ち出した指針は、20日に行われたホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームの会合で協議された。ファウチ所長も対策チームのメンバーだが、この日は手術を受けるために会合を欠席していたという。
ファウチ所長はCNNの取材に対し、「私は手術室で全身に麻酔をかけられていて、検査に関する新しい勧告については協議や検討に参加していなかった」とした上で、「こうした勧告の解釈について憂慮している。これでは症状がない人からの感染に重大な懸念はない、という誤解を与えかねない。実際には重大な懸念がある」と指摘した。
これに対し、トランプ政権で新型コロナウイルス検査を統括するブレット・ギロイル氏は26日、新しい指針はホワイトハウスの対策チームが承認したものだと強調した。
CDCの新しい指針は、新型コロナウイルスの症例数が急増して米国内の検査態勢が逼迫(ひっぱく)していた1カ月前に、CDCのロバート・レッドフィールド所長が対策チームに提案していたらしい。一部のメンバーは、過剰な検査を減らす方法に関連した新たな方針を模索していた。
事情に詳しい関係者2人によると、レッドフィールド所長は濃厚接触者に対して検査を奨励し続けるよりも、CDCが指針を緩めて、健康で無症状であれば検査は不要とする判断を示すことを提案したという。
新しい指針はCDCのウェブサイトに24日に掲載された。25日にマスコミに報じられたことで脚光を浴び、公衆衛生の専門家などから批判の声が上がっている。