世界を救う「原子力メガヨット」の構想とは

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動力は実験段階にある新たな原子力技術を想定している/Courtesy Earth 300

動力は実験段階にある新たな原子力技術を想定している/Courtesy Earth 300

シンガポールで富裕層や接客業の世界で経験を積んできたオリベラ氏だが、アース300を思いついたのはモルディブでダイビングをした際に死につつあるサンゴを見たときだった。そこで、豪華さと環境主義という全く異なる世界を1つにする方法として、船を考えついたという。

オリベラ氏は「啓発された探検家の新ブランドを立ち上げたいと思う。富裕層への見方の流れを変え、富裕層が先導的な役割を果たすことができ、またそうすべきだということを示したい」と語る。

豪華な調査船というアイデアは全く新しいものではない。ノルウェーでは類似したプロジェクト「REVオーシャン」があり、全長182メートル、建造費3億5000万ドル(約390億円)のスーパーヨットで乱獲や気候変動、プラスチック汚染を調査する予定だ。

漁業や石油掘削業で財を築いたシェル・インゲ・レッケ氏が資金を出し、2022年に就航予定だったが、建造に関する問題で3~5年遅れになるという。

一方、アース300の建造費は7億ドル(約780億円)とREVオーシャンの倍に達する。オリベラ氏はドイツや韓国の造船所に目を付けていて、初期段階の設計や造船技術は完成しているという。

10年以内の就航を目指しており、「2025年は我々にとって可能だと思う。今後6カ月ほどで物事がうまくいくかの問題だ。資金のパッケージを確保さえできれば」とオリベラ氏は語る。資金は個人投資家や伝統的な金融商品を通じて得るとも述べた。

原子力で推進?

燃料については、当初は環境に優しい合成燃料を使う見通しだが、排出物を完全にゼロにするという要請を満たすため、オリベラ氏は最終的に「溶融塩原子炉」を後付けする計画。

これにより、同船はエネルギー面で完全に自律した状態で無限に海上にとどまることが可能になる。ただ、量子コンピューターと同様、この技術はまだ確立しておらず、英企業コアパワーとビル・ゲイツ氏が会長を務める原子力技術企業テラパワーが共同で開発中だ。

本プロジェクトはこうした企業に加え、IBMや造船工学企業、船級関連団体など十数社が連携を発表している。

オリベラ氏にどのような有名人に乗船してもらいたいかと問うと、イーロン・マスク氏、ミシェル・オバマ氏、グレタ・トゥンベリ氏などの名前が挙がった。ただ、こうした著名人だけでなく、有名ではないが刺激を与える人々をあらゆる職業や年代、文化から集めて、引き合わせていくことに計画の意義があると話す。こうした人々は乗船の代金を求められないが、豪華なスイートに滞在することができるという。

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