150億回再生の中国ネットドラマ、新たな検閲対象か 国営紙が社説で非難
北京(CNN) 中国で爆発的なヒットを記録した時代物のネットドラマが、当局による新たな検閲の対象となる可能性が浮上している。その内容について国営紙が「社会主義の価値と相容れない」と非難する社説を掲載。テレビ局での再放送が突然中止される事態となった。
渦中の作品は全70回にわたって配信された「延禧攻略(Story of Yanxi Palace)」。清朝第6代皇帝、乾隆帝(在位:1735~1796年)の宮廷を舞台に、1人の宮女が権力者へとのし上がっていく過程を描く。
昨年8月には1日で中国国内の5億人が視聴。シリーズを通しての再生回数は150億回を超えているとされる。また同年グーグルで最も検索されたテレビドラマにもなった。中国ではグーグルが利用できないため、国外からも極めて高い関心を集めていることがうかがえる。
ところが強い影響力を持つ国営紙の北京日報は、先月25日の社説で突如(とつじょ)ドラマの内容を非難。皇帝の華美な暮らしぶりや側室らの繰り広げる謀略に言及し「社会主義の核心的な価値と相いれない」「ぜいたくを賛美しつつ倹約や勤労を攻撃している」と主張した。また同じ乾隆帝の治世を舞台にした別のドラマに対しても批判の矛先を向けた。
社説が掲載された数日後、中国メディアは国内の複数のテレビ局で予定されていた上記2本のドラマの再放送が突然中止になったと報じた。
香港大学の宋耕准教授は、2本のドラマが同時に再放送中止となったのは偶然ではないと指摘。「こういったことは過去に何度も繰り返されてきた」「延禧攻略のようなドラマは巨額の利益を生むが、一方で検閲の目は極めて厳しい。以前にもタイムトラベル物や反汚職物のドラマが放送禁止になったことがあった」と述べた。