ボトックスの施術受けた数十人、「ボツリヌス症」の症状訴え 英
(CNN) 英イングランド北東部でボトックスの施術を受けた後、命に関わる「ボツリヌス症」の症状を訴える人が相次ぎ、英当局が調査に乗り出したことが分かった。ボトックスに似た製品の違法販売疑惑についても調べを進めている。
英国民保健サービス(NHS)ダラム支部は13日、ボトックスを使った美容施術で有害反応が出て医療機関を受診した人が複数確認されたとして、注意を喚起した。
英保健安全保障庁(UKHSA)が20日の声明で明らかにしたところによると、先週に初の事例が判明して以降、28人が美容施術後にボツリヌス症の症状を報告したという。
ボツリヌス症は命に関わる疾患で、ボツリヌス菌が産生する毒素が神経系を攻撃し、まひを引き起こすことで発症する。
UKHSAの保健コンサルタント、ジョアン・ダーク氏は声明で「(菌そのものではなく)これらの毒素がボットクスや類似製品の有効成分となる」と説明。「認可を持つ施術者にかかることが重要だ」と付け加えた。
医原性ボツリヌス症とは、美容目的の「ボトックス」を筋肉に過剰注射した際に発症するタイプのボツリヌス症を指す。ボトックスはしわ取りの代表的な施術であり、片頭痛や多汗症などの治療にも用いられる。
UKHSAによれば、報告された有害反応には眼瞼下垂(がんけんかすい)や複視、嚥下(えんげ)障害、ろれつが回らない、倦怠感などが含まれている。
このほかボツリヌス症の症状として、顔面の筋力低下が起きるケースもある。
NHSの公式サイトによると、ボツリヌス症は速やかな治療が必要な疾患で、致死率は全症例の5〜10%。
多くの人は抗毒素注射などの治療で全快するものの、対応が遅れた場合、まひが呼吸に使われる筋肉まで拡大する恐れもある。
これまでの証拠では汚染の形跡なし
ボツリヌス症の原因については調査中だが、UKHSAは「これまでの証拠では、使用された製品が汚染されていた形跡はない。症状は注射後、数日から4週間で報告されている」と述べた。
また英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は20日、CNNに対し、「北東部でボトックスに似た製品が違法に販売、供給されているとの疑惑」を調査中だと述べ、こうした主張を深刻に受け止めていることを明らかにした。
MHRAは英国民に対し、副作用や偽造品が疑われる場合は報告するよう促している。