TikTokで流行の10代向けスキンケア、皮膚トラブルと高コストの恐れ 米研究

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子どもたちはSNSで毎日のスキンケアのルーチンを公開している/ damircudic/E+/Getty Images

子どもたちはSNSで毎日のスキンケアのルーチンを公開している/ damircudic/E+/Getty Images

(CNN) 米在住のエイバ・ペーニャさんは、10歳で携帯電話を手に入れると、スキンケアへの関心が爆発的に高まった。

最初は、母親のジゼル・ペーニャさんと一緒にスパごっこをしたり、新製品を試すために買い物に出かけたりしていた。だが、エイバさんの引き出しから300ドル(約4万3000円)のアンチエイジングクリームを発見したとき、ジゼルさんは戸惑いを覚えたという。

「肌が若返り、小じわ、しわ、ハリが改善すると書かれていた。『これは娘向けではない』と思った」

ソーシャルメディア上のコンテンツが、年齢にそぐわないスキンケア製品の使用を促していることに懸念を示す親は増えている。この懸念を裏付ける可能性を示した研究結果が、今月9日付の米小児科専門誌「ペディアトリクス」に掲載された。

7歳から18歳のTikTok(ティックトック)クリエーター100人のスキンケアルーチンを分析した結果、平均11種類の刺激性活性成分が含まれており、その多くは皮膚アレルギーの発症や日光過敏症のリスクを伴うことが分かった。日焼け止めが含まれていたのは製品リスト全体の4分の1に過ぎなかった。

「動画に登場する子どもたちの大半は、目に見えるニキビがなく、完璧で透明感のある肌をしていた」と、本研究の筆頭著者であり、米ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部皮膚科の認定皮膚科医であるモリー・ヘイルズ氏は述べ、「多くの場合、潜在的なメリットよりもデメリットの方が大きいだろう」と指摘した。

動画に出てくる美容液、保湿剤、化粧水、洗顔料などのスキンケアルーチンは平均6ステップ。月間コストは約168ドルで、なかには500ドルを超えるものもあったという。

研究結果を受けてヘイルズ氏は、ソーシャルメディアのコンテンツが若者の日常生活にどのような影響を与えているかについて、重大な倫理的問題を提起していると言い添えた。

TikTokの広報担当者は、この種のコンテンツは「あらゆるメディアに共通するものだ」としたうえで、13歳未満と疑われるクリエーターはプラットフォームから削除されると述べた。またTikTokは、第三者機関の医師や青少年発達の専門家と連携し、安全対策を講じていると説明した。

10代のスキンケアに見られる危険信号

調査対象となったスキンケアルーチンのほとんどには、日焼け止めが含まれていなかったが、日光過敏症や皮膚がんのリスクを高める製品は含まれていた。

推奨されていた製品に共通して含まれていた有効成分は、肌表面の角質を取り除くマイルドな化学的ピーリング剤であるAHA(アルファヒドロキシ酸)だった。これは肌の色むらを整え、若々しい印象を与える効果があるとされるが、紫外線に対する肌のダメージを高めることが知られている。

「特にAHAを使用している場合には、毎日の日焼け止めの使用を推奨する」(ヘイルズ氏)

AHAのほか、ナイアシンアミドのようなビタミン系成分も潜在的な刺激物として知られており、特に過剰使用により赤みや乾燥などの副作用を引き起こす可能性がある。

「多くの場合、少女たちは同じ有効成分を繰り返し塗布していることに気づいていない可能性があり、炎症リスクが高まる」と、本研究の上級著者であり、同大学の医学・医療社会科学の非常勤講師であるタラ・ラグ博士は述べた。

研究によれば、製品の半数以上にはアレルギー性接触皮膚炎の一般的な原因となる香料のほか、アレルゲンとして知られる20種類の不活性成分が含まれていた。

「ソーシャルメディア上の誤情報は大きな問題だが、特に18歳未満のコンテンツクリエーターにおいて顕著だ」と、クリーブランドの認定皮膚科医であるソナル・シャー氏(本研究には関与していない)は指摘した。

「これらの情報源は科学的背景を持たず、製品の作用機序やリスクについて十分な知識がない可能性が高い」と同氏は述べ、TikTok上には信頼性の高い助言を提供できる認定皮膚科医もいると付け加えた。

10代にはどのようなスキンケアが適切か?

シャー氏とヘイルズ氏は、ニキビなどの問題がない18歳未満の子どもには、有効成分を含まない低刺激の洗顔料、無香料の保湿剤、ミネラル系の日焼け止めの使用を推奨している。

だが、思春期を迎えるとニキビの原因となるホルモンの分泌量が増加する可能性があるため、その場合は、サリチル酸や低濃度の過酸化ベンゾイルが配合された市販の製品を勧めている。

より大きな視点

最終的に、子どものスキンケアを心配する親は、親子で話し合うべきだと、米ペパーダイン大学の心理学教授、ジェニファー・ハリガー氏(本研究には関与していない)は述べている。

ヘイルズ氏は、若者向けの美容・ウェルネスコンテンツには社会的側面があることを理解し、柔軟な姿勢を持つことも重要だと指摘した。

「これらの動画は、この年齢層にとって非常に魅力的な、遊び心ある自己表現の一種」と説明。「彼女たちは、自立した自己のアイデンティティーや、社会における自己の見せ方、ジェンダーアイデンティティー、この社会において女の子であるとはどういうことかを模索し始めたばかりなのだ」

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