米中が貿易交渉、関税停止を延長へ ロシア産石油についても協議
(CNN) 中国と米国の貿易交渉担当者がスウェーデンの首都ストックホルムで2日間にわたって協議を行った。世界2大経済の間で再び貿易を封鎖しかねない水準まで関税が跳ね上がるのを防ぐ合意には至らなかったものの、米中の代表団は前向きな見解を示した。
合意が成立しなければ、米中両国は8月12日から互いの輸入品に対し歴史的な高関税を再導入する見通しだ。
米国のベッセント財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表はストックホルムで記者団に対し、2日間の会合について「建設的だった」とし、関税停止の延長について「合意の可能性が高い」と述べた。
ベッセント氏は、協議は生産的だったとしたうえで、トランプ大統領からの最終的な承認が得られていないと言い添えた。関税停止の延長についての最終判断はトランプ大統領に委ねられているとしている。
グリア氏は、延長の可能性に関しては、いったん米国に戻って、トランプ氏と協議することになると語った。
トランプ氏29日、記者団に対し、ベッセント氏から電話があり、中国側との会合は非常に良い内容だったと報告を受けたと明らかにした。30日に報告が行われ、その上で延長を承認するかどうか判断するという。
トランプ氏はまた、年内に習近平(シーチンピン)国家主席と会談する意向も示した。
5月には中国が米国製品に対する関税を125%から10%に、米国も中国製品に対する関税を145%から30%に引き下げることで合意していた。
グリア氏によると、8月12日までに新たな合意がなければ、中国製品に対する関税はさらに約34%引き上げられる可能性があるという。これは145%のピークには届かないが、再び大幅な引き上げとなる。
今回の会合では、中国による制裁対象のロシア産原油の購入問題も議題となった。ベッセント氏は、中国がこのまま購入を続ければ、米議会の最大500%の関税を課す法案に基づき、巨額の関税が科されると警告した。
トランプ氏も、ロシアがウクライナと和平合意に達しない限り、こうした国々に100%の「二次関税」を課すと発言していた。
ベッセント氏はまた、中国によるロシア向けデュアルユース(軍民両用)技術機器の販売や、制裁下にあるイラン産原油の購入についても、米側の懸念を伝えたと明らかにした。
今回の協議は、5月のスイス・ジュネーブ、6月の英ロンドンでの協議に続く3回目となった。ロンドンの協議では崩壊寸前だった枠組みの再確認が行われていた。
これまでの協議では、関税の引き下げや、電子機器などに不可欠なレアアースの米企業向けの供給拡大などで合意してきた。米政権は中国がこの供給の約束を順守していないと非難し続けていた。中国からいくつかの譲歩を引き出し、関税を引き下げたことで、トランプ氏は中国に対する強硬な姿勢をやや緩めている。