英国沖で19世紀の沈没船発見、長年の海事の謎が明らかに
(CNN) 140年前に沈んだ19世紀の船舶がこのほど、「時が止まったかのような」状態のまま英国沖で発見された。
当該の船舶「SSナンテス」は、1888年11月にコーンウォール沖で沈没。乗組員23人が死亡した。船の残骸の所在はこれまで謎に包まれていた。
素晴らしい発見は、ダイバーのドム・ロビンソンさん(53)が水に沈んだ遺物の中から食器の破片を見つけたことがきっかけだった。
破片を陸へ持ち帰ってみると、その表面には海運会社の印が押されていた。これが沈んだ船を特定する手掛かりになった。

残骸はプリマスから南東へ48キロ、英仏海峡の深さ75メートルの場所で見つかった/Rick Ayrton
プリマス大学の歴史学教授で海事の専門家、ハリー・ベネット氏によると、沈没時のSSナンテスは建造から14年が経過していた。同氏は6日、CNNの取材に答え、同船の他にも存在を知られながら所在の分からないまま長い年月が過ぎた船舶が複数あると述べた。
沈没時、航海条件が悪い中、SSナンテスはドイツの帆船に衝突。船体の側面に大きな穴が開いたという。その後の数時間で乗組員らはマットレスなども使って穴を埋めようとしたがうまくいかず、船は非常な速さで沈んだとベネット氏は説明した。

船内で見つかった食器の破片には海運会社の印が押されていた/Deep Wreck Diver/YouTube
帆船と衝突したことでSSナンテスの救命ボートは損傷。乗組員たちは避難できなくなった。生存者は3人のみだった。
ベネット氏によればドイツの帆船の方も沈没したものの、救命ボートは無事だったため大半の乗組員は生き延びた。SSナンテスの生存者のうち2人も、これらの救命ボートで救助された。

ロビンソンさんは残骸発見の様子を動画共有サイトのユーチューブで公開している/Deep Wreck Diver/YouTube
ロビンソンさんがCNNの取材に明らかにしたところによると、船の残骸はプリマスから南東へ48キロ、英仏海峡の深さ75メートルの場所で昨年秋に発見したという。

沈没から生還したのは3人のみ。残りの乗組員23人は命を落とした/Rick Ayrton
残骸の構造や寸法、上記の食器の破片などから船がSSナンテスであることが確認された。ベネット氏によればあらゆる沈没船は「タイムカプセル」であり、沈没から「時が止まったような」状態を保つという。当該の食器について、乗組員が最後の食事で使用したかもしれないと思うと胸に迫るものがあると、ベネット氏は語った。