「至高の」難破船に積まれた財宝、新たな画像で明らかに コロンビア沖

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南米コロンビア沖に沈んだスペインのガレオン船に積まれていた金貨/Daniela Vargas Ariza, Antonio Jaramillo Arango, Jesús Alberto Aldana Mendoza, Carlos Del Cairo Hurtado, Juan David Sarmiento Rodriguez/ARC-DIMAR 2022

南米コロンビア沖に沈んだスペインのガレオン船に積まれていた金貨/Daniela Vargas Ariza, Antonio Jaramillo Arango, Jesús Alberto Aldana Mendoza, Carlos Del Cairo Hurtado, Juan David Sarmiento Rodriguez/ARC-DIMAR 2022

(CNN) 新たな研究によって、コロンビア沖に沈んだ船から発見された金貨の詳細が明らかになった。これは当該の船が300年前のスペインのガレオン船「サン・ホセ号」であることを示すさらなる証拠ともなっている。同船には数十億ドル相当の人工遺物が積み込まれていたと考えられている。

10日付のアンティクイティー誌に掲載された研究によると、科学者たちは無人水中探査艇を駆使して沈没船を調査。積荷の一部の画像を撮影した。

その際発見された金貨について、写真測量法による分析を行ったところ、エルサレムの十字架や、スペインのカスティーリャ・レオン王国を統治した君主の王冠の紋章が確認された。

さらに、この硬貨が1707年にペルーのリマで鋳造されたことを示すシンボルも発見。船の難破がそれ以降に起こったことが証明された。

歴史的記録によるとサン・ホセ号は、07年に大量の王室用貨物を積んでペルーを出航した船団の1隻だったが、08年の英国軍との戦闘後、コロンビア沖で沈没。スペインに到着することはなかった。

研究者によれば、これらの硬貨の存在は当該の船がサン・ホセ号であるとの見方を補強する。同船はしばしば「至高の難破船」と呼ばれている。

コロンビアの国立歴史人類学研究所(ICANH)の主任研究員ダニエラ・バルガス・アリサ氏は、10日に発表された声明の中で、「不規則な形をした手打ちの硬貨は、英語ではコブ、スペイン語ではマキュキナとして知られ、2世紀以上にわたって米大陸での主要な通貨として機能していた」と述べた。サン・ホセ号が率いる船団は、南米とイベリア半島を結ぶ王家の財宝の輸送を独占していたという。

水中文化遺産を専門とする考古学者、ヘスス・アルベルト・アルダナ・メンドーサ氏はCNNの取材に対し、「調査中にこうした遺物を発見し、これほど詳細に分析できたことは非常に驚きだった 」と語った。

サン・ホセ号は沈没後、カリブ海に面した港湾都市カルタヘナの沖合に手つかずのまま放置されてきた。その歴史的重要性から、積み込まれた遺物には推定170億ドル(約2兆4000億円)の価値があるとされる。しかし現在、この船を巡っては数十億ドル規模の法廷闘争が続いている。

コロンビア政府は、国際的な科学者の協力を得て2015年にサン・ホセ号を初めて発見したと主張。これに対し、米国の海洋サルベージ会社、シーサーチ・アルマダ(SSA)は1980年代初頭に自分たちが発見したと異議を唱えている。

SSAはコロンビア政府を相手に国際常設仲裁裁判所で法廷闘争を開始。難破船が積んだ財宝の推定価値の半分となる約100億ドルを得る権利があると主張する。コロンビア政府はこうしたSSAの主張に反論している。

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