プラネタリウムで偶然の発見、太陽系を包む「オールトの雲」は螺旋状だった

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ニューヨークにあるヘイデン・プラネタリウムのショーでの一場面。太陽系の最果てに位置する広大な氷の天体の領域「オールトの雲」が映っている/AMNH

ニューヨークにあるヘイデン・プラネタリウムのショーでの一場面。太陽系の最果てに位置する広大な氷の天体の領域「オールトの雲」が映っている/AMNH

(CNN) 偶然の発見により、太陽系有数の謎めいた構造に対する我々の認識が変化するかもしれない――。太陽系全体を包み込む「オールトの雲」は従来、球状だと考えられていたが、プラネタリウムの投影準備をきっかけに、実は螺旋(らせん)状であることが判明した。

オールトの雲とは、氷の天体群で構成される広大な領域のことで、海王星の周回軌道の1000倍以上の距離で太陽を周回している。直接観測されたことは一度もないが、球状との見方が多い。

しかし、ニューヨークのヘイデン・プラネタリウムで今月9日に初公開されたショーの制作準備中、プラネタリウムのドームに投影された画像から、オールトの雲の内部に奇妙な螺旋構造が存在することが明らかになった。

学芸員たちは昨年9月、太陽から太陽系外縁までの領域を詳細に示すシーンをテストしていた際、螺旋状の構造を目にして驚いた。偶然にも、銀河系などの渦巻銀河と似た外観だった。

「シーンを再生すると、すぐにそれが見えた。そこに浮かび上がっていた」。そう振り返るのは米自然史博物館の天体物理学者、ジャッキー・ファハティ氏だ。「混乱したし、非常に奇妙な印象を受けた。アーティファクト(データの可視化で生じた異常)なのか本物なのか、見当が付かなかった」

調査のため、ファハティ氏はサウスウエスト研究所の研究員、デービッド・ネズボルニー氏に連絡を取った。ネズボルニー氏はオールトの雲の専門家で、このシーンに使う科学データを提供した人物だ。

「これは我々ではなく、デービッドが作ったものだ」とファハティ氏。「デービッドのシミュレーションであり、物理学に基づいている。そこに渦巻きが存在すべき理由はなぜか、完全に妥当な物理的説明ができる」

ネズボルニー氏は当初、データ可視化の際に生じた異常やゆがみ「アーティファクト」ではないかと疑ったが、データを調べたところ渦巻きの存在が確認され、最終的に今年4月、天文学誌アストロフィジカル・ジャーナルに論文を発表した。「発見に至った経緯は奇妙だった」「データを長年扱ってきた私がもっときちんと把握しておくべきだった」

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