プラネタリウムで偶然の発見、太陽系を包む「オールトの雲」は螺旋状だった
途方もなく長い軌道
オールト雲の存在は1950年、オランダの天文学者ヤン・オールト氏が初めて提唱した。同氏はオールトの雲について、最大1.5光年離れた位置で太陽を周回する、殻のような氷の天体の集まりと想像。米航空宇宙局(NASA)によれば、オールトの雲は太陽系の最果ての領域にあり、隣の恒星への距離の半分まで伸びているという。
オールトの雲を構成しているのは、太陽系形成時に残された物質だ。こうした物質は惑星の形成後、あらゆる方向に散乱した。このため、オールトの雲を構成する氷の天体の多くは、太陽系そのものとは軌道面が異なる。オールトの雲が球体として描かれてきた理由はここにある。
オールト雲の想像図を描く際の問題は、厳密には私たちがその中に存在するにもかかわらず、科学者が一度も直接観測したことがない点にある。オールトの雲を構成する天体は直径97キロ以下と小さく、その数は数兆個に上る可能性もあるが、極めて距離が遠いことから望遠鏡による観測は難しい。
ネズボルニー氏のデータの中で渦巻きが埋もれていたのは、3次元で可視化することを思い付かなかったためだという。「デカルト座標で見たことがなかった。そうする理由がなかったから」とネズボルニー氏。「だが一度やってみれば明白だった。そこに渦巻きがあった」